パリ五輪が約2年後に迫る中、日本の女子トラック界を〝Z世代〟がけん引している。

 昨夏の東京五輪では1万メートルで広中璃梨佳(21=日本郵政グループ)が7位入賞を果たし、1500メートルでも田中希実(22=豊田自動織機)が8位入賞。トラックでも日本勢が世界で戦えることを証明した。すると、注目株の不破聖衣来(拓大2年)が「(五輪で)同年代の選手がたくさん活躍しているのを見て、自分も目指せる大会だととらえることができた」と触発され、昨年12月に1万メートルで日本歴代2位となる30分45秒21をマーク。次世代のヒロインたちが着実に進化を遂げている。

 相乗効果の波は、さらに広がっている。小林成美(名城大4年)も1万メートル日本選手権(7日、国立競技場)の前日会見で「同世代の選手が活躍している姿は刺激になっている。学生だけど意識が上に向いた。実業団選手にも負けたくないという気持ちで練習してきた」とコメント。ライバルの活躍に感化され、学生屈指のランナーとして注目を集めるようになった。

 スポーツ界ではプロ野球の西武などでプレーした松坂大輔氏ら多くの選手が活躍した「松坂世代」のように、同世代の選手たちが切磋琢磨して全体のレベルアップにつながるケースが少なくない。女子トラック界も〝Z世代〟が互いに刺激し合うことで、急成長が期待できそうだ。