陸上の関東学生対校選手権2日目(15日、日産スタジアム)、男子100メートルで日本人初の9秒台が期待された桐生祥秀(19=東洋大)は、先に行われた準決勝で左太もも裏がつり、決勝を棄権した。桐生を指導する土江寛裕コーチ(40)は「今年のメーンは世界陸上。リスクを避けた」と説明。桐生も「出たかった。痛みはないしすぐに練習する」とあくまで大事を取った形だ。

 昨年は4月の織田記念(広島)予選で右太もも裏に違和感を訴え決勝を棄権。9月にも左太もも裏を痛めアジア大会(韓国)を欠場と故障続きだった。今季は冬場に筋力トレーニングを行い体づくりを敢行したが、天才スプリンターの肉体は繊細のようだ。

 9秒台の期待が高い国内で成績が出ないとあって、見えない重圧の心配もある。それでも日本陸連の苅部俊二短距離部長(46)は「今回は大事を取っただけで全然問題ない。彼は期待されるのが好きなんで、期待しててもいいと思いますよ」と笑顔。夢の9秒台を後押ししていた。