【箱根駅伝】初V青学大 実を結んだ「脱・体育会系」

2015年01月04日 16時00分

10区を走った安藤が歓喜の表情でゴールテープを切った

【箱根駅伝】第91回東京箱根間往復大学駅伝競走は3日、復路が行われ、青山学院大学が10時間49分27秒で初の総合優勝を果たした。前日の往路5区で「3代目山の神」に就任した3年の神野大地(かみの・だいち=21)の力走に続き、復路でも驚異的なタイムで歴史をつくった。快挙を成し遂げた舞台裏で青学大が目指したのは“脱・体育会”。とかく厳しいルールで縛られがちな体育会にあって、冗談も恋愛トークもOKのゆったり系の活動が実を結んだ。

 今大会ではコース変更があったものの、史上初めて10時間50分を切る驚異的なタイムで栄冠を手にした。原晋監督(47)は「(2012年優勝の)東洋大の記録(10時間51分36秒)は破れないと思っていた。選手にこんな力があったのか。本当にありがとう」と選手たちをたたえた。

 2日の往路では山上り5区で神野がまさに“神がかった”走りを見せて往路V。その勢いは復路につながり、7区から9区まで連続区間賞獲得で最後までトップを譲らなかった。「往路があったから勝てたと言われたくなかった。復路でも新記録をつくりたかった」(7区・小椋裕介)と力走が続き、2位の駒大に10分以上の大差をつけた。

 歴史を塗り替えた青学大はどんなチームなのか。原監督は「選手たちが自立してやっていたので怒る必要がなかった。こんなアットホームなチームはほかにないと思う」と振り返る。

 1区を走った3年の久保田和真(21)によれば「監督の懐が広いし、とにかくフレンドリー。やることをやっていればすべて受け入れてくれる。冗談だって言い合えるんですよ」。ダイエット中の監督に対して「最近太りましたね~」という“禁断ワード”も平気で言えた。大学の体育会系部活動では、監督は本来「雲の上の存在」。からかうような言動は当然ご法度だが、原監督は怒るそぶりも見せずに「そうかぁ。やっぱり走らないとなあ~」と笑顔で答えたという。

 また、監督夫妻も選手と同じ寮で暮らしており、自然と会話も増える。このため、原監督は選手の“女性関係”すら把握しているという。「あいつは彼女がいるとか、いないとか別れたとか、普通に話しますよ。写真も見ますから。まあ、日々一緒にいますからね。楽しくやっていますよ」

 原監督は今大会のテーマを「わくわく大作戦」と命名した。前日には「長距離のイメージが厳しい、つらいでは、若い人も陸上をやろうとは思わないと思う。とにかく楽しくワクワクするところだと思ってほしい」と説明。体育会系の上下関係を“撤廃”し、和気あいあいと楽しんで競技に取り組める雰囲気をつくり上げた。8区を走った4年の高橋宗司(21)は「本当に楽しい4年間だった。陸上をやめたくないし、寮からも出たくない」というほどだ。

 これまで日本のスポーツ界では、上下関係の厳しい体育会系部活動において逸脱した指導や暴力行為が何度も問題視されてきた。そんな“あしき風習”に風穴を開けるような青学大の快走。新たにつかんだ「楽しんで勝つ」という境地は来年にもつながりそうだ。