【箱根駅伝・往路(2日)】「3代目山の神」は真面目の神だ。2日の第91回東京箱根間往復大学駅伝競走は、青学大が初の往路優勝を果たした。
 
 箱根の山上りとなる5区、2位でたすきを受けた青学大の神野大地(かみの・だいち=21、3年)が首位に躍り出て「新・山の神」と呼ばれた東洋大・柏原竜二(25=富士通)の1時間16分39秒(今年からコースが約20メートル長くなったため参考扱い)を上回る1時間16分15秒でゴールした。

 神野は「夢が実現できてうれしい」と笑顔。原晋監督(47)からは「模範生」と評され、陸上部の仲間からは「陸上のために生活全てをかけている」と一目置かれる。寮生活でも真面目さが際立っており、他の選手が起きていても必ず午後10時15分までに就寝。レースに向けた準備が始まれば、お菓子類は一切食べない。練習前後にも補強練習を他の選手の何倍も行うという。164センチ、43キロと小柄な体だが、体幹を鍛えることで山風にも負けない肉体をつくった。

 一方で今年の青学大は「わくわく大作戦」がテーマ。「長距離のイメージが厳しい、つらいだけでは、他のスポーツに選手が行ってしまう。楽しくやりたかった」(原監督)。神野も週1回のオフには思い切り遊び、生活にメリハリをつけることも忘れなかった。

 5区を任される際、原監督に「国民的ヒーローになれるぞ」と言われ心が動いたという神野が柏原超えの偉業達成。また一人、陸上界に有望選手が誕生した。