最後まで粘り抜いた。東京五輪の女子マラソン(7日、札幌大通公園発着)で、一山麻緒(24=ワコール)が2時間30分13秒で8位。2004年アテネ五輪で金メダルを獲得した野口みずき氏以来、17年ぶりの入賞となったが、その金メダリストも高い評価を与えている。

 本番前には「緊張しているし、びびってもいます」と話していた一山だが、レースが始まると、強気な姿勢を取り戻した。「いけるところまでついて走ろう」。序盤から果敢に攻め、先頭集団をキープ。33キロ過ぎで「スピードの変化に体が反応できなかった」と一時は入賞圏外の9位まで順位を下げたが、40キロ付近で8位に浮上し、最後は両手を広げてフィニッシュした。

「今日に向けてずっと頑張ってきて、世界の選手と一緒に走ってみて、世界の方たちは暑くても強いなと思った。9番よりは8番のほうがうれしかったので、最後は笑顔で終わろうと思った。今日は勝てなかったけど、今日は今日で悔いはない」と振り返った。

 五輪切符をかけた昨年3月の「名古屋ウィメンズマラソン」で2時間20分29秒の好タイムを叩き出し、一躍注目を浴びた中、所属先の永山忠幸監督が課す猛練習「鬼メニュー」をこなし、さらなる飛躍を遂げた。

 野口氏も「フォームはやっぱりトラック向きな感じで、もともと中距離の選手のような走り方という風に思っている。ストライドも大きいし、腰高ですよね。腰が入りすぎずに、ちょうどいい感じで入っていて、お尻の位置が高い。本当に恵まれた姿勢ですよね」と高評価を下すほどだ。

 メダルには届かなかったが、札幌の地で確かな爪痕を残した一山。3年後のパリ五輪に向け、明るい兆しが見えたレースとなった。