3度目のメダルへ。東京五輪・陸上男子400メートルリレー予選(5日、国立競技場)、日本は多田修平(25=住友電工)、山県亮太(29=セイコー)、桐生祥秀(25=日本生命)、小池祐貴(26=住友電工)の順で臨み、38秒16の1組3着で決勝進出。2008年北京五輪銀、16年リオ五輪銀に続くメダル獲得へ前進した。

 レース後、1走を務めた多田は「予選が一番緊張する。リレーもすごく久々だったので、感覚がある程度よみがえってきた」と安堵の表情。予選は「安全バトン」で後続に託したことから決勝へ向けて「もっと攻めたバトンと走りで金メダルを目指したい」と気を引き締めた。

 チームが抱える〝2つの不安〟も解消された。多田、山県、小池は100メートルで予選敗退。ショックを引きずればリレーに支障が出てもおかしくなかったが、選手らは「なんとかリレーはという気持ちでいった」(山県)、「個人は個人、リレーはリレー」(小池)と切り替えを強調。むしろリベンジの機会と捉えてトラックに立った。

 リレー代表として選出された桐生も未知数だった。かねて右足アキレス腱の痛みを訴えていたが、この日は「(大会前の)山梨合宿が終わってからカーブも問題なく走れた。足は問題ない」。桐生のバトンパスやコーナーを走る技術、豊富な経験はチームに不可欠な要素だけに、計算のメドが立ったのは大きい。

 予選ではジャマイカ、英国といった強豪国が順当に通過する一方で米国が姿を消す波乱も起きた。多田は「リレーは何が起こるか分からない」と話すように、展開次第で日本にもチャンスはある。19年世界選手権決勝でマークした37秒43の日本記録を更新すれば「全然メダル圏内」と桐生は言った。〝リレー侍〟の決勝の走りに注目だ。