東京五輪・陸上男子走り幅跳び決勝が2日、国立競技場で行われ、橋岡優輝(22=富士通)が8メートル10で6位となり、1984年ロサンゼルス五輪の臼井淳一以来、37年ぶりの入賞を果たした。

 2回目に7メートル95、3回目には7メートル97をマークし、上位8人に残った。最終6回目で8メートル10をマークした橋岡は、入賞にもメダルを逃し「悔しいです」とひと言。予選から中1日で迎え「8メートルを超えるのに6本目までかかってしまった。タフな試合をこなしていない経験不足なところがあったのかな」と振り返った。

「結果の(電光)掲示板を見たときに今回確実にメダルを狙えたなと…」

 橋岡は6月の代表選考会を兼ねた日本選手権では8メートル36で自己ベストを更新していた。今大会は3位が8メートル21だっただけに、同等の記録を残していれば、表彰台は十分、射程圏内だった。

 競技後には金メダルを獲得したミルティアディス・テンドグル(ギリシャ)と言葉を交わす場面も。「もともと知り合いで友達。彼は日本のことが好きでアニメの話をしたり。いいジャンプだった、と伝えたら『アブナカッタヨ』と日本語で言ってました」と舞台裏を明かした。

 初の大舞台も物おじしなかった。2019年世界選手権では「あの選手がいるという〝遠い感覚〟だった」。それでも「今は肩を並べるというか、しっかり勝負をしていきたいなと思えるような感じ」と手応えを口にする。

 その一方で「まだまだ勝負するに至り切っていない」と課題も浮き彫りになった。24年パリ五輪に向けては、ダイヤモンドリーグ(DL)といった海外での競技会に出場して経験値を積むことはもちろんのこと、「もっと海外選手と知り合って、ラフな感じではないけど、もうちょっといい雰囲気で試合に臨めるようなことも必要なのかな」と国際交流の必要性を口にした。

 戦いは終わったばかりだが、橋岡は「3年後、金メダルを獲得する目標に、それを実現させるだけの力をつけていこうと。今、一段と強い思いです」。世界に友達の輪を広げ、パリではその中心に躍り出る。