男子マラソンの川内優輝(27=埼玉県庁)が19日、「ちばアクアラインマラソン」ハーフマラソンの部に出場し、1時間4分22秒で優勝した。

 ゴール直後から笑顔の絶えない川内は“絶口調”モード。「いやあ、今日は本当に楽しかった。絶景でした! 最高でした! 走りながらニヤニヤしてしまいましたよ。アジア大会が終わって、すがすがしい気持ちです。もう記録とか順位とか気にして、ガチガチにならなくていいんですから」と、テンションは最高潮だった。

 4日に韓国・仁川で行われたアジア大会男子マラソンで銅メダル。優勝を逃したことで、来年の世界選手権(北京)代表内定を逃した。大会後は悔しさから睡眠もろくに取れず「病んでいた」。「アホ公務員、二度とマラソンに出るな」といった心ない手紙も届いた。

 それでもネガティブな気持ちはない。アジア大会前には秩父の山中でトレーニング中に遭難しかけ「生きているって幸せなことなんだ」と実感。今後、代表選考レースにも出場しないため、一時的に日本代表の肩書も外れる。日本を背負う重みから解放されたことで精神的に前向きになった。

「これからも日本各地をさわやかに走りますよ」。再び日本代表に返り咲いて2016年リオデジャネイロ五輪に出場するまで、市民ランナーを楽しみながら強化を続ける。