初の大舞台へ――。陸上男子100メートルで日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(タンブルウィードTC)が2日、代表取材に応じ、開幕まで2か月を切った東京五輪に向けて「万全の準備を」と意気込み語った。

 先月31日に米フロリダ州ジャクソンビルで行われた競技会の100メートルは、追い風3・6メートルの参考記録で10秒25。2019年世界選手権以来となった実戦を「ケガがなければ今回の試合はそれでいいのかなと思っていた。レース自体はあまりよくはなかったのかなと思うけど、気持ちよく久しぶりに走れたので自分的にはプラスかなと思います」と振り返った。

 そして、今季2戦目が日本選手権(24~27日、大阪・長居)となる。すでに100メートル、200メートルで東京五輪の参加標準記録を突破しており、3位以内に入れば出場権を手にするが「出るからには2冠して、五輪に向けていいスタートが切れれば」と話す。

 特に100メートルは桐生祥秀(25=日本生命)、小池祐貴(26=住友電工)、山県亮太(28=セイコー)、多田修平(24=住友電工)、ケンブリッジ飛鳥(28=ナイキ)らと注目のレースになりそうだ。

 そんな五輪については新型コロナ禍の不安から批判的な意見も上がっているが、サニブラウンは「開催する、しないというより、自分は万全の体制で準備していければという感じ」と冷静。また、ワクチン接種にも「そのうち必要になってくるのかなと思いますね。そんなに軽く考えていい病気じゃないので、そこに関してはコーチ、トレーナー、いろんな方と相談して、自分で決めていこうかなと」と柔軟に対応する姿勢を強調した。

 昨年はレース出場がなかったサニブラウンだが、〝本業〟について改めて考えることもあったという。「観客があって、サポートしてくれる皆さんがいてこそのスポーツなのかなと身にしみて感じた。自分たちアスリートが日々、しっかり練習して観客の皆さんがいなくても頑張っている姿を見せて、少しでも元気づけてあげられれば」

 本番に向けては観客数をどうするか調整が続いているが、最高のパフォーマンスを届けるつもりだ。