中国甘粛省白銀市で22日に行われた100キロクロスカントリー大会で、天候の急変により参加者21人が死亡。主催した白銀市政府へ批判の声が高まるなか、山で倒れながら羊飼いの男性に助けられた張小涛選手が23日、中国版ツイッターのウェイボーに当時の壮絶な体験を明かした。

 同氏によると、スタートした時も風が強く、多くの人の帽子が吹き飛ばされていたという。次第に雨が降り始め、登山部分に差し掛かるとひょうと混ざり始めた。顔を叩き続け、視界がぼやけ、道が見えなくなった。この頃、2選手に遭遇したが「黄関順選手はすでに体調が悪かった。もう一人の呉攀栄選手は山の真ん中に到達した後、体が震え、話してもわなわな震え始めたので、私の腕を回し引き込んだ。しかし、記憶が曖昧だが、風が強すぎて、転び、くっついて走ることができず次第に離れていった。私はその時4位、黄選手が6位、呉選手が5位。本当につらいが、私が上位6人で唯一の生存者です」と明かした。

 その後、さらに風が強くなり、何度も転んで起き上がれず意識があるうちに保温毛布を着用。GPSを取り出してSOSを押したあと意識を失った。山で約2時間半昏睡状態だったが、現地の羊飼いの男性に助けられていたという。「通りかかった羊飼いのおじさんが私を洞窟に運びました。火を起こし、私の濡れた服を脱がせて毛布に包んでくれ、1時間ほどで意識が戻った。洞窟には他の選手がいて、みんなで暖を取った。救助が難しいので、私が目が覚めてから、皆で一緒に山を下りた」。現地の報道では6選手が羊飼いの男性に助けられたという。

 安全面での不備が指摘され、山間部の救助は難航。悪天候でも早期に中止の決定をしなかった主催者側に、中国でも「天災ではなく人災だ」と非難の声が高まっている。張選手は「私を救ってくれたおじさんに心から感謝します。おじさんがいなければ、今も山にいるかもしれない。ご恩は一生忘れません」と記している。