世界陸連(WA)の会長でIOC委員のセバスチャン・コー氏(64)5日、北海道・札幌で開催された東京五輪マラソンのテスト大会を視察した。

 レース終了後の記者会見に出席したコー氏は「今日、札幌そして北海道は最高レベルの大会を運営する力があることを示し、証明された」と満足げに語り、本番を見据えたコロナ対策については高評価を下した。

 一方、東京五輪は依然として厳しい世論にさらされている。中止を求める声が大半を占める中、記者団から「もし東京五輪の組織委会長だったら?」という質問が飛んだ。コー氏は2012年ロンドン五輪の組織委会長を務めた経験がある。それを踏まえ、コー氏は「私から申し上げられるのは、今回の東京2020組織委員会の会長じゃなくて良かったと言うこと。そうじゃなかったのがうれしい」と本音をポロリ。「ロンドンもいろいろな複雑な状況やチャレンジがありましたが、歴史的に見てこれほど大変な、人々の理解を超えるような難しい大会はなかったのではないか」とした上で「橋本(聖子)会長は素晴らしい。これほどのチャレンジ、大変なおとはないというお話をしました」と語った。

 逆風が吹いている状況については「心配や懸念という国民感情は私もよく理解できます」と言いつつ「このコロナのパンデミックが終わった時に向け、何が希望であり、光であるかを考えた時、この五輪やパラリンピックを開催できるということが希望の光になるということです。それも大会を安全に開催して成功させると思っております」と熱い思いを口にした。