五輪凡走の藤原“大きすぎる代償”

2012年08月17日 12時00分

 逃した魚は大きかった? ロンドン五輪男子マラソンで凡走した藤原新(30=ミキハウス)が窮地に追い込まれそうだ。万全のアフリカ勢対策で入賞をぶち上げながら結果は45位と大惨敗。五輪前にさんざん募ったスポンサーはさぞかしおかんむりと思われたが、実際には契約時に交わした藤原の“ハングリーポリシー”に救われた格好だという。いったい、どういうことなのか――。

 

「最後は体が動かなかった。申し訳ないです」。疲労困憊の様子でそう頭を下げた藤原。入賞を掲げながら33キロ手前で7位集団から脱落し、2時間19分11秒もかかってようやくゴールした。金メダルのスティーブン・キプロティク(23=ウガンダ)は今年の東京マラソンに出場し、藤原に次ぐ3位だっただけに「もう少し何とかならなかったのか」と落胆する声は少なくない。

 

 その最たる“被害者”はスポンサーだろう。東京マラソンで脚光を浴びた無職ランナーは、ミキハウス、BMWジャパン、カゴメ、ANAと次々に契約。テレビ、雑誌、新聞、ネットとあらゆるメディアに露出してきた。藤原に近い関係者によると「総額は5000万円以上。1億円には届いていないぐらい」かき集めたという。それがこの結果では怒っても不思議ではない。

 

 ところが…。実情は異なるようだ。「スポンサーと藤原の契約は1年なんです。これは藤原側の『ストイックさを失いたくないから』というポリシーがあったから。実際、複数年の打診があったんですが『それじゃあ実業団と変わらないじゃん』と断ってきました」(陸上関係者)

 

 つまり、単年契約のおかげで、スポンサー側が救われた格好なのだ。もちろん、契約更新されなかったとしても藤原サイドには想定内と言える。

 

 富山県庁も同じだ。ミキハウスに所属する前、藤原は家族が住む富山県に住民票を移したが、県庁から「所属にならないか」とオファーがあったという(県庁は「そのような事実はありません」と否定)。

 

「当時、川内(優輝)君が埼玉県庁所属として話題になっていたんで、二番煎じを狙ったのでは? でも拠点は東京だし、お断りしました」(藤原に近い関係者)

 

 独自にスポンサーを集めて練習してきた藤原の姿勢は、実業団一辺倒の日本マラソン界に一石を投じた。

 

 ただ、結果につながらなかったことで、再び逆風にさらされても不思議ではない。勝負の世界で「たら、れば」は禁物だが、もし2年契約に飛びついていたら…。まだまだランナーとして先があるとはいえ、ポリシーを貫いた代償はあまりにも大きかった。