陸上のセイコー・ゴールデングランプリ東京(11日、国立競技場)男子100メートルで、10秒01の日本歴代2位の記録を持つ桐生祥秀(18=東洋大)は、向かい風3・5メートルの悪条件に苦しみ10秒46で5位に終わった。それでも「トップとの差が分かったので、この先につなげていければ。マイナスに捉えても意味がないので前向きにいきたい」とさっぱりとした表情で話した。

 東洋大で指導する土江寛裕コーチ(39)によれば、桐生のどんな結果でもプラスに捉える性格は「楽観的で前向きですね。でもスプリンター(短距離選手)にはこの『ま、いっか』が大切なんです。そういう意味で彼はスプリンター向き」。

 一瞬で勝負が決まる短距離。細かいことを引きずることなく、前向きに切り替えられる選手が強くなるようだ。大学入学直後には寮生活を含めた新生活になじめず調子がおかしくなったそうだが「最初は練習に来るとちょっとイライラしていましたが、数日ですぐにリラックスしていましたよ」(同コーチ)。たった数日で切り替えられたのは、まさに天性のもの。また、周囲からの重圧にも焦ることはない。「今は基礎練習をやっている。急ぐ必要はないんです」(桐生)と、マイペースで練習を積んでいる。

 この日優勝したアテネ五輪金メダリストの大ベテラン、ジャスティン・ガトリン(32=米国)から「すごく若いけどいい走りをしている。必ず活躍するだろう」と太鼓判を押された。夢の9秒台へ、超前向き思考とマイペースさが手助けとなりそうだ。