進化が止まらない――。東京パラリンピック代表に内定している道下美里(43=三井住友海上)が20日、防府読売マラソンの視覚障害者の部女子に出場し、2時間54分13秒の好走で4連覇を達成。自身が持つ世界新記録を9秒更新した。

 小学4年で膠様滴状角膜ジストロフィーを発症し、右目の視力が著しく低下。26歳のころには左目の視力もほとんど失ってしまった。そんな中「目が不自由になってあまりに運動不足になってぽちゃぽちゃしていたので、ちょっと痩せたいな」と軽い気持ちで始めた陸上。2008年にブラインドマラソンと出会い、16年リオデジャネイロパラリンピックでは銀メダルを獲得した。

 それでも「まだまだやれる」とすぐさま東京パラリンピックへ向けてリスタート。今年2月の別府大分毎日マラソンでは、2時間54分22秒(当時世界記録)の好タイムをマークするなど、着実に成長を遂げていた。しかし、新型コロナウイルス禍の影響で大舞台が1年延期に。当初はダメージを受けたというが、周囲のサポートを受けながら気持ちを切り替え、この日の好結果につなげた。

「目標はもちろん金メダル」。パラリンピックイヤーを前に、不屈のランナーがまた一つ新たな勲章を手にした。