陸上男子短距離の桐生祥秀(18)が6日、東京・日本武道館で行われた東洋大の入学式に出席した。高校生で100メートル10秒01を出し日本人初の9秒台が期待されるスプリンターは髪の毛を伸ばし、人生初のスーツ姿で入学式に臨んだ。約7500人の新入生を前に壇上で紹介されると「おお~」というどよめきも起きた。「拍手や歓声を聞いて、もっと強くなって、人間的にも強くなって世界と戦いたいと思った」とやる気もアップだ。

 すでに人生初の寮生活を開始し、掃除や洗濯も自分でするようになった。滋賀出身の桐生は東京で満員電車も初体験。初めてのことばかりのキャンパスライフが始まるなか、コーチを務める土江寛裕氏(39)が「乗り越えてほしい」と力を込めた課題が寮生活だ。

 もともとスプリンターは「独特のリズムを持って生きている人が多く、大勢のなかにいるタイプは少ない」(土江氏)とマイペースな“一匹おおかみ”が多いという。だが、寮生活は一人でいる時間がほとんどないうえ、食事や練習での規律、上下関係など守らなければならないことが増える。のびのび自由にとはいかないが、土江氏は「競技を引退した後、しっかりとした社会人となるためにも必要なこと」とエール。

 今年は世界ジュニア選手権(米国)、仁川アジア大会(韓国)など国際大会も控えている。日本陸上界の歴史を塗り替えるためにも、集団生活に早く慣れたいところだ。