公務員ランナーの川内優輝(27=埼玉県庁)がアジア大会(9月、韓国・仁川)に向け“メカ化”を遂げる。
アジア大会のマラソン代表に決定した川内は、埼玉県庁を通じて「『今の自分自身に足りないものは何か』を考えながら、職場の許す範囲で様々な機会を利用して積極的に知識・情報・刺激を吸収していきたい」と気合のコメント。
昨年の世界選手権は18位と惨敗した。2016年リオ五輪に向けアジア大会は金メダル以外、見えていない。そのカギとなるのが、日本陸連が新設するマラソンのナショナルチーム(NT)だ。これまで所属が中心だった選手を総合的に把握・強化していくという試みで、お家芸復活の秘策として期待されている。
川内にとってもメリットは大きいという。陸連の酒井勝充強化副委員長(53)によれば、NTでは川内の肉体を最新鋭の医科学システムを使って解剖。「疲労の確認や客観的な評価を取り入れることによって故障やオーバーワークがなくなる」という。これまでタフさを売りに、独自の感覚だけを頼りに驚異的なレース数を重ねてきた川内が、今後はデータに基づいた最適な調整を行うことができる。アジア大会にピタリとピークを合わせることが可能だ。
「多くのレースに出るけど、疲労の残らないタイプ」(酒井氏)だけに極端なレース減にもならなさそう。“野生児”から“メカ”に進化する川内の走りに注目だ。