世界陸連・コー会長 アスリートのヒザつき抗議に「私たちはサポートする。選手の自由だ」

2020年10月08日 12時16分

雨の中、視察を行ったコー会長(ロイター)

 世界陸連のセバスチャン・コー会長(64)が8日、来夏の東京五輪のメインスタジアムとなる国立競技場(東京・新宿区)を視察した。小雨が降る中、スタジアムを見渡したコー会長は「数年前に見た時と姿が一変していて非常に感銘を受けた。来年の大会を楽しみにしている」と語った。

 一方、今年5月に米国で起きた黒人男性暴行死事件を契機に、アスリートによる抗議行為が話題を呼んでいるが、コー会長は一部選手が人種差別への抗議として行った〝ヒザつき行為〟について「私たちはサポートしていく姿勢です」と明言した。

 アスリートの表現の自由を巡る議論が活発化する中、国際オリンピック委員会(IOC)は今年1月に禁止行為の具体例を示した指針を発表し、ヒザつき行為は認めないと明文化。五輪でも政治的なプロパガンダは「五輪憲章」の第50条によって厳しく禁じられている。1968年メキシコ五輪の陸上表彰式では、黒人差別の抗議として黒い手袋をはめ拳を突きあげた米国2選手が追放処分となった。

 だが、コー氏は「世界陸連の中でもワーキンググループを作り、これについてどう接するか、どう選手をサポートするかを話し合っている」としたうえで「選手は世界の一員であり、世界で起きていることを自分たちで表現したいと思うのは普通で、自由だと思う。他の選手に関してちゃんと敬意を払うやり方であればそれは構わないと思う」と持論を展開した。

 今年に入り、追放処分された前述のジョン・カーロス氏が「50条の撤廃」をIOCに要請。先月のテニス全米オープンでは、日本の女子エース大坂なおみ(22=日清食品)が、人種差別への抗議として黒人被害者の差別マスクを着用し、賛否の声が飛び交った。

 世界のスポーツ界に大きな影響力を持つコー氏だけに、今後は「50条撤廃」の流れが加速するかもしれない。