1月に米テキサス州で行われたヒューストンハーフマラソンで1時間6分38秒の日本記録を叩き出した新谷仁美(積水化学=32)が21日から複数回、ツイッターを更新。我が国の女子スポーツ界における問題点を真正面から指摘した。

 新谷はシドニー五輪マラソン女子金メダリスト・高橋尚子さん(48)の再来といわれた超逸材で、2013年モスクワ世界陸上女子1万メートルで、5位入賞を果たしている。

 その当時のやせ細った写真を掲載し「言い方悪いけど、キモチワル。写真は無月経になってしまった25歳の私。メンタルを破壊して無月経になるまで追い込む事が本当にかっこいいものなのか。女子選手はしっかり考えてほしい」と述べた。

 さらに「無月経である事を放置しないで」「私も月経に関しては無知です。悩まれてる選手や関係者と同じです。ただ何が良くて悪いかの判断はできます。今は定期的に来ていますがいつまた無月経になるかという不安はあります」「長くに渡って日本の女子スポーツ界はこの問題に目を背けてきた。それは指導者だけの責任ではない。我々選手も自覚を持ち、そして次なる世代へ教えていくべきだ。恥ずべき事ではない」と強く訴えた。

 カギは「月経ある、ない関係なく言える状況を作ること。選手も指導者も家族も」だという。そして「私が無月経になった原因は怪我への負担を無くすために体を軽くしようという浅はかな考えで実行された過度な減量と誰にも相談しなかったことです。結果を得るためだったとは言え、自分がした事は体と心を破壊する行為だった」と振り返った。

 新谷は世界陸上で残り1周まで先頭を走り、メダルまであと一歩に迫ったが、無理がたたって足底筋膜炎を悪化させ、引退に追い込まれた。陸上選手として脂が乗るはずの20代後半をオフィスワークで過ごし、5年のブランクを経て18年に復帰した。こうした苦労から問題点に気づき、女子選手を取り巻く環境を変えたいと考えたようだ。

 新谷は1月の全国都道府県対抗女子駅伝で快走。大阪国際女子マラソンのペースランナーを務めたことは記憶に新しい。5000メートル、1万メートルの参加標準記録を突破し、コロナショックに見舞われるまでは、東京五輪出場に向けて順調な仕上がりを見せていた。