「五輪選手団の主将」は必要か?

2012年06月22日 12時00分

 ロンドン五輪日本選手団の主将と旗手が18日、日本オリンピック委員会(JOC)より発表され、主将は陸上男子やり投げの世界選手権銅メダリスト村上幸史(32=スズキ浜松AC)、旗手はレスリング女子で五輪3連覇を狙う吉田沙保里(29=ALSOK)に決まった。人選が難航した主将はベテランアスリートに落ち着いたが、新たに「主将は必要なのか」という声が上がる。

 難航した主将がようやく決まった。関係者によると、JOCは陸上男子ハンマー投げの室伏広治(37=ミズノ)、競泳男子の北島康介(29=日本コカ・コーラ)の金メダリスト、さらには旗手に決まった吉田にまで打診した。しかし、室伏らは米国を拠点にするため、結団式(7月21日)や開会式(同27日)参加といった日程面などで折り合いがつかなかった。

 いわばメダルの有力選手たちはピーキング(調整)を重要視して〝敬遠〟。このため〝消去法〟で、アテネ、北京五輪を経験しているベテランの村上にようやく落ち着いた格好だが、こんな指摘が上がっている。

「調べたことはないが、外国では『主将』というのはあまり聞かない。海外の実態を調べて、選手の側から見て必要なのか、改めて問い直してもいいのではないか」

 そう語るのは、五輪評論家の伊藤公氏。五輪に詳しいあるジャーナリストも「主将を置いているのは日本ぐらいでは」。
 伊藤氏が特に懸念するのは主将にかかる重圧感。旗手に比べ、主将は選手団全体を気にかけることになる。「誇りに感じる選手もいるけれど、重圧がかかることも事実」。実際に、ここ4大会の夏季五輪で主将を務めた個人競技の3選手(アトランタ=マラソン・谷口浩美、アテネ=柔道・井上康生、北京=同・鈴木桂治)は、いずれも振るわずに終わっているのだ。

 JOCの市原則之専務理事(70)は人選について「だいたいの(代表)選手が出揃ってから」選考に入ったとして、難航による遅れは否定。だが、4日に同専務理事名で人選に関して「誤解、混乱を招くような取材や報道は避けてください」との文書を出しており、JOCが神経をとがらせていたことは間違いない。

 なり手のいない主将をなくせば、選手の競技外の負担が一つなくなり、JOCの〝難事業〟も減る。市原専務理事は「(人選で)そういう議論はなかった。やはり名誉なことだし、名誉に感じてもらわなければいけない」と強調したが、果たして〝消去法〟で決めた人選に名誉はあるのか。今後も論議を呼びそうだ。