【マラソン】ナイキにひと足早く「金」 厚底シューズが2週連続で快挙

2020年03月09日 16時40分

 男女ラスト1枠を獲得したヒーロー&ヒロインの足元を支えたのは、ともにナイキ社の新モデル「エアズーム アルファフライ ネクスト%」。“超厚底シューズ”といわれる新製品だった。

「名古屋ウィメンズマラソン」で優勝し、五輪代表ラスト1枠を獲得した一山麻緒(22=ワコール)を指導する永山忠幸監督(60)は「1週間前に(東京マラソンで)大迫君があの靴で日本記録を出したから。一山も3つくらいの(候補の)中から選んだ」と説明。同社製品を履いたランナーが2週連続で快挙を達成したのだから、ナイキは笑いが止まらない。

 1月中旬、マラソン界に“厚底シューズ問題”が持ち上がったのは周知の通り。一部の英国紙が世界各地で好タイムを連発していた同社の旧モデル「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」が規制対象になると報じたが、同月31日に世界陸連(WA)は条件つきで許可した。その新規定は「靴底の厚さは4センチ以下で埋め込むプレートは1枚まで」「4月30日以降の大会で使用する場合は4か月前から市販」などで、前述の新モデルは厚さ39・5ミリ、すでに1日に販売開始となったので、条件はすべてクリア。すったもんだの末、東京五輪でも堂々と使用できることになった。

 この新ルールについてWAは「ある特定メーカーを狙い撃ちにしたものではない」と発表。新規則の原案を作成したWAグループの一員、日本陸連事務局国際担当部長の関幸生氏も「ナイキという一つの会社をターゲットにしたものでない。それ以外の会社も厚底シューズを出している。開発競争が進む中で果たしてこれでいいのか?という声が現場からも上がり、いったん冷静になって競争を停止しようとなった」と説明した。

 とはいえ、一連の騒動で同社の高性能シューズがクローズアップされ、全世界の競技者に「ナイキ最強」を印象づけた。そればかりか一般客からも予約が殺到する人気ぶり。五輪本番に向けては各メーカーが新兵器を投入してくるだろうが、「ナイキ独り勝ち」の感は否めない。

 マラソン界は厚底問題の他にも五輪札幌移転、新型コロナウイルスの余波など様々な難題が降りかかった。代表選考も終わっていよいよ本番ムードだが、企業戦争ではひと足先にナイキの“金メダル”が確定したようだ。