日本陸連 厚底シューズの新ルール「ナイキ狙い撃ちではない」と説明

2020年02月26日 18時29分

 日本陸連は26日、世界陸連(WA)が発表したシューズの新規定に関する説明会を都内で行った。

 マラソン界に“厚底シューズ騒動”が持ち上がったのは先月中旬。一部英国紙が世界各地で好タイムを連発するナイキ社の「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%」が禁止されると報じたことでクローズアップされたが、WAは先月31日に条件付きで許可することを発表していた。

 新規定はマラソンだけでなく、もともと靴底の厚さの規定が存在した走り高跳び、走り幅跳び以外の全競技用シューズが対象。主なポイントは次の3つだ。

(1)靴底の厚さは4センチ以下、埋め込むプレートは1枚まで。

(2)医事的理由によるカスタマイズはOK

(3)4月30日以降の大会で使用する場合、4か月前から市販されているものに限る。

 この中で最も選手やメーカーが戸惑っていたのは「医事的な理由」「市販」の2点。一体、どこまでのカスタマイズがOK? 市販されていれば限定10足でもいいのか? そんなルールの“落とし穴”について、実際に新規則の原案を作成したWAグループのメンバーでもある日本陸連事務局国際担当部長の関幸生氏が解説してくれた。

 まず、医事的理由でのカスタマイズに関しては「選手にケガをさせないことが第一」といい、偏平足や外反母趾などに対応した微調整、修正は許可される。著しく形が変わったカスタマイズについてはメーカーとWAがやりとりする中で最終決断がなされるという。靴底に金属製のピンがないアシックス社の次世代シューズを使用する男子短距離の桐生祥秀(24=日本生命)、大阪国際女子マラソン覇者で左右でサイズの違うオーダーメードを愛用する松田瑞生(24=ダイハツ)の特製シューズについては「ルールを読む限りOK」との見解を示した。理論武装さえすれば、おおよそのカスタマイズは許可されるとみられる。

 もう一つの争点は「市販」だ。規則には「オープン・リテール・マーケット(オンラインもしくはストア)」と表記され、「誰もが等しく入手(購入)可能であること」とうたわれている。ただ、小売店で購入できれば何でもアリとも解釈でき、極端に言うと「限定1個でも、とりあえず売ればいいのか?」との“屁理屈”も通用しかねない。これについて関氏は「なんでもかんでも規制するために作られたルールではない」と前置きしつつ「誰もが購入できるという文言から、限定10足となると引っ掛かるかもしれない」と解説。また、例えば1億円の値段を付けて特定のターゲットだけに使用される“作戦”については「誰に対しても…とあるので、価格も判断基準となる」(関氏)。パラリンピック大会では1000万円の車イスが「誰もが購入できるものではない」とみなされ、使用不可になっているケースもあるという。特注品やオーダーメードの場合はカタログにしっかり記載され、不特定多数の人が購入できるか?という常識的な解釈で判断されるようだ。

 今回の改正についてWAは「ある特定のメーカーを狙い撃ちにしたものではない」と公表。関氏も「ナイキ社をターゲットにしたものではない」と口添えした。WAは「激しさを増す開発競争の中で、既存の規則では補いきれない部分を今後、より明確にするための対応」としている。