厚底シューズ問題 新ルールに抜け道あり!

2020年02月04日 16時40分

 その発想があったか。先月31日、世界各地で好タイムを連発するナイキ社の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズについて世界陸連が容認を決定した。騒動はこれで決着したかに思われたが…新規則には不透明な部分が多く選手やメーカーは困惑を隠せない。そんな中、複数の現場関係者は新ルールの“抜け道”を指摘。英語で書かれた規則と照らし合わせると、どうやら規制をすり抜けられる裏技があるというのだが…。

 世界陸連による新規則は大きく3つある。

①靴底の厚さは4センチ以下であること。

②靴底に埋め込むプレートは1枚まで。

③4月30日以降の大会で使用する場合、4か月前から市販されているものに限る。

 選手やメーカーが混乱しているのは「4センチ」「4か月前」「市販」の3ワードだ。まず「4センチルール」について、実際に「ヴェイパーフライ」を履く東京五輪の女子マラソン代表・鈴木亜由子(28=日本郵政グループ)を指導する高橋昌彦監督は「何をもって、何センチかという根拠が難しい。ソール(靴底)の形はおわん状なので、どこから測るかで変わる。またインソール(中敷き)を厚くしたら似た効果が得られるかもしれないし…」と話す。さらに「4か月ルール」の適応により、即販売してもレースで使えるのは6月以降。今夏に新モデルを発売予定のミズノ関係者は「対応を協議していく」と見通しが立たない状況だ。

 そして最大の問題点は「市販」の縛りだ。世界陸連は「aesthetic reasons」(デザイン性の理由)、「medical reasons」(医学的な理由)を条件にカスタマイズを許可しているが、日本陸連関係者は「足の幅が広いとかの個性も医学的に含まれるのか? 線引きが、定義が難しい」と困惑。先月の大阪国際女子マラソンを制して東京五輪代表に前進した松田瑞生(24=ダイハツ)が愛用するニューバランス社の非厚底シューズは「外反母趾の箇所を膨らませているのは事実。同じ素材を使った商品が流通していますが、100%一緒ではない」(同メーカー関係者)。「医学的理由」の条件はクリアしているものの「市販」は“グレー”だろう。あいまいな状況に頭を悩ます者は多いが、あるメーカーの担当者はこんな“抜け道”を指摘する。

「販売さえすればいいんですよね。極端な話、完全オーダーメードの靴をネットで『〇〇選手モデル』『限定品!』として1足でも売れば?」

 この秘策を考える関係者は意外と多い。世界陸連の規則には「オープン・リテール(小売り)・マーケット(オンラインもしくはストア)」とあり、小売店で購入できる状態であればOKと解釈でき、たった「1足」でも…と画策するメーカーがあっても不思議ではないのだ。日本陸連関係者は「現場は混乱し、問い合わせも来ている。これから世界陸連からQ&Aなどが通知され、徐々に制度化していくと思う。問題を一つずつ潰していきたい」と語るが、“限定1品大作戦”の是非も含めてますます波紋が広がっていきそうだ。