日本陸上競技連盟は16日、都内で理事会を開き、2020年東京五輪の100メートル、200メートル代表選考基準について「個人種目は原則として1種目のみとする」との選考要綱を提案した。金メダル獲得が期待される400メートルリレーに出場するメンバーの負担軽減が目的という。

 五輪は200メートル決勝の翌日に400メートルリレーの予選が行われることから、日本陸連の麻場一徳強化委員長(59)は「日程等を考慮してリレーに大きな力を使ってもらおうということ」と説明。また、今年の世界選手権400メートルリレーで金メダルを獲得した米国のクリスチャン・コールマン(23=100メートル金メダル)、ジャスティン・ガトリン(37=同銀メダル)が200メートルを回避したことも背景にあるようだ。

 続けて「強引にやるのはよくない。いろんな意見を聞いた上で最終的な判断をしたい」としたが、選手側の反応はどうなのか。

 100メートル日本選手歴代1位の9秒97をマークしたサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)は「リレーのために絞るというのは分からないではない。でも、個人的にはあくまで個人種目でメダルを取るために練習をしているので、リレーは個人種目の二の次。個人種目を頑張った上で、リレーも手を抜かずやっていくスタンスでと考えている」ときっぱり。

 2017年の世界選手権は100メートル、200メートルに出場して400メートルリレーを欠場、今年の同選手権は200メートルの出場回避と様々な経験を通して思いを語った。

 本番まで7か月と迫った段階で“リレー侍の弊害”が生まれてしまいそうだ。