2020東京五輪のマラソン・競歩会場が札幌に決定したことを受け、日本陸上連盟の強化委員会が5日、都内で会見を開いた。

 突然の開催地変更について、瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)は国際オリンピック委員会(IOC)による変更案が浮上した先月16日の午後7時ごろ、電車内でニュースを見た関係者から知らされたことを明かし「腰が抜けました。ドッキリカメラかと思った」と改めて驚きの心境を語った。

「東京でやるということが頭に刷り込まれている。急に札幌と言われても、なかなか頭の中が切り替えられない」と戸惑いの気持ちを吐露した瀬古氏だが、東京五輪出場の内定を決めた服部勇馬(25=トヨタ自動車)から「瀬古さんのようにモスクワ五輪(1980年)がボイコットになるわけではない。札幌の地でマラソンができる僕らは幸せです」と声をかけられ「涙が出ました」と感激したという。

「IOCの決定は絶対。我々は小さな存在だと思った」と言う瀬古氏は、当初はあらがう姿勢も考えたというが「へたなことを言ったら、もう五輪でマラソンをやらなくていいと言われる恐れがあった」といい、グッと我慢してこらえたという。

 会見中は声を詰まらせるシーンもあったが、帰り間際には「言うだけ言ったので、もうスッキリした。気持ちは切り替わった。今からは前向きに札幌、札幌! これからサッポロラーメンを食べにいく」と、いつもの明るい表情に戻っていた。