マラソンの東京五輪代表選考レース「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(15日)で、代表争いとともに注目を集めたのが選手たちの足元だ。かつてはランニングシューズといえばアシックスの独壇場だったが、近年ランナーから支持を集めるのはナイキだ。代表入りした4人の中でも男子のの中村匠吾(27=富士通)と服部勇馬(25=トヨタ自動車)、女子2位の鈴木亜由子(27=日本郵政グループ)がナイキで、女子優勝の前田穂南(23=天満屋)だけがアシックスと、人気の逆転現象が起きている。

 きっかけは男子のエリウド・キプチョゲ(34=ケニア)が世界新記録(2時間1分39秒)、大迫傑(28=ナイキ)が日本新記録をマークしたときに履いていたものがナイキのシューズ「ズーム ヴェイパーフライ 4%」だったため。それまでにはない厚底のシューズだったが、トップランナーに多い、つま先から着地する「フォアフット」と呼ばれる走り方をする選手の力を引き出すということで、爆発的に広まった。

 さらにMGC当日の15日は、新作「ヴェイパーフライ ネクスト%」のお披露目でもあった。中村らが新作を履き快走を見せたため、シューズの担当者にとっても特別な日になった。

 16日は男女代表の一夜明け会見が行われ、誕生日を迎えた中村はダブルの喜びで笑顔がはじけ「今後は代表として恥じぬよう、しっかりと努力していきたい」と意気込んだ。MGCでも結果を出したナイキがさらにシェアを広げるのか。ランニングシューズの勢力争いからも目が離せない。