東京五輪のマラソン代表男女各3枠のうち2枠が決まる選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC=15日)の公式会見が13日、都内のホテルで行われ、出場権を勝ち取った男子30人(棄権1人)、女子10人(棄権2人)が意気込みを語った。

 注目は男子。昨年10月にシカゴマラソンで2時間5分50秒を出し日本新記録を更新した“現最速ランナー”大迫傑(28=ナイキ)、同年2月の東京マラソンで2時間6分11秒をマークし、16年ぶりに日本記録を更新した設楽悠太(27=ホンダ)の新旧王者対決だ。2人がマラソンで同じレースを走るのは初。大迫が「メディアの方が言うほど、マラソン選手は他人を意識していない」と語ると、設楽も「そこに注目する方はたくさんいると思うが、まずは自分の走りをするだけ」と、己との闘いと強調した。

 ただ、今回のMGCはタイムは無関係で、代表権を得るには順位が全て。さらにペースメーカーがいないため、誰がレースを引っ張るか、スパートをかけるタイミングなど、他選手との駆け引きが重要になる。会見では多くの選手が「35キロ過ぎの上り坂が勝負」と指摘する中、大迫は「全ての状況に対応というか、最後勝てばいい話なので、しっかりと力を温存する」とイメージ。対して設楽は「ぶっちゃけ、30キロぐらいで勝負はついてると思う。そこからだともう遅い」と前半勝負を宣言。2人の戦略は分かれた形になった。

 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)はレース展開について「こればっかりは分からない。天気もあるしね」と話したように、日本初となる選考レースは、まさに“神のみぞ知る”戦いになりそうだ。