復調へのポイントは? 陸上男子100メートルで日本初の9秒台(9秒98)をマークした桐生祥秀(23=日本生命)が思い通りのパフォーマンスを発揮できていない。

 今季は4月のアジア選手権で10秒10のタイムで初の金メダルを獲得するなど好調な滑り出しだったが、ここにきて状態はいまひとつ。9秒97の日本記録を持つサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)が200メートルとともに2冠を達成した6月の日本選手権は悪天候だったため、判断材料にするのは難しい。しかし、直近のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会決勝では小池祐貴(24=住友電工)が日本選手3人目の9秒台(9秒98)をマークして4位となった一方で、桐生は10秒13で7位と伸び悩んだ。

 東洋大時代から桐生を指導する日本陸連の土江寛裕五輪強化コーチ(45)は本紙の取材に応じ「冬場は筋力アップを目的にやってきたことで、出力もかなり上がったと思う。それを持続したり、もう一段上げたりという作業をシーズン中にやらないといけないが、その部分がもう少しできなかったというのはある」と指摘した。

 ここまで世界選手権(9月27日開幕、ドーハ)の切符を手にしているのはサニブラウンのみ。それでも世界ランキング10位(7月23日付)で、日本選手最上位の桐生は代表入りの可能性が限りなく高い。今後は欧州のレースに1、2試合出場予定で「(調子の)波はどうしてもある。桐生は上がっていたものがちょっと下がったイメージ。その波のタイミングをドーハに合わせられるかどうか」(土江コーチ)。

“元祖”9秒台スプリンターは世界選手権に照準を合わせられるかがカギだ。