日本陸上競技連盟は1日、福岡市内で会見を開き、世界選手権(9月27日開幕、カタール・ドーハ)に出場する代表選手と男女のリレー候補選手を発表した。リオ五輪で銀メダルを獲得した注目の男子400メートルリレーには、日本選手権2冠のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)ら11人を選出。日本が誇るスプリンターが名を連ねたが、ベストメンバーの構成には頭を悩ませることになりそうだ。

 来年の東京五輪で金メダルが期待される男子400メートルリレーは、すでに今年の世界選手権の出場枠を確保している。その候補メンバーには日本選手権男子100メートルでサニブラウンに屈しながらも存在感を示した桐生祥秀(23=日本生命)、小池祐貴(24=住友電工)らに加え、リオ五輪銀メダルメンバーの山県亮太(27=セイコー)、飯塚翔太(28=ミズノ)、ケンブリッジ飛鳥(26=ナイキ)らも名を連ねた。

 日本陸連の麻場一徳強化委員長(58)は「エントリーの上限が6人なので(この中から)状況を見ながら5~6人を選考する」と説明したが、山県は気胸のため、日本選手権を欠場。飯塚は同大会の200メートルで足を痛め、故障明けのケンブリッジは100メートル決勝で最下位と不本意な結果に終わった。

 本番まで約3か月あることから「山県選手はしばらく静養が必要だが、回復して条件が整えば選考したい。飯塚選手は2日の検診を受けてからでないと正確な診断は分からないが、軽度の肉離れという見立てもある。彼のリーダーシップは欠かせないし、可能なら選びたい」(麻場強化委員長)としたものの、“お家芸”を支えた功労者が世界選手権に万全の調整で臨めるかどうかはかなり微妙な状況だ。

 一方で会見に出席したサニブラウンは「日本の短距離はレベルが上がっているので、リレーももっといいタイムが出ると思う」と自信満々。拠点としているフロリダ大では2走で実力を発揮しているが、さまざまな起用が期待できそうだ。

 ただ、5月の世界リレーの予選では3走を務めた小池がバトンミスを起こして失格になってしまうなど、今後の中心を担うべき選手にもバトンパスの不安がないわけではない。実際、世界リレー後にはサニブラウンについて「どういうふうに迎え入れるか、考えないといけない」(土江寛裕・男子短距離五輪強化コーチ)との声も出ており、日本最速男の“使いどころ”が金メダル獲得へのカギとなる状況に変わりはない。

 今後は海外のレースなどで起用法を試し、9月7日以降の第2次代表発表で最終的なメンバーが決定。新旧メンバーをどう効果的に融合させるか。麻場強化委員長は「一番いいメンバーで構成する」と明言したが、悩みは深まりそうだ。