東京五輪「マラソン代表選考会」の違和感

2019年06月04日 16時30分

会見に出席した(左から)野口みずきさん、神野、瀬古氏、高橋尚子さん

 天気予報とにらめっこになる!? 日本陸上競技連盟は3日、2020年東京五輪のマラソン代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(9月15日、東京)の出場選手を発表した。五輪の花形競技のプレ大会には4月までに出場権を獲得した男子31人、女子12人の計43選手が出場する。一方で、猛暑の中で行われる本番とは約1か月のズレがある時期の開催に問題はないのか? MGC出場を辞退した“あの選手”の見解とともに検証する。

 この日、選手として唯一会見に登場した“3代目山の神”こと神野大地(25=セルソース)は「これからの3か月で新しいことをやるというより、日々の継続が結果として出ると思う」と意気込んだ。

 日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(62)はレース展開について「読めません! いろんなタイプの選手がいるので、こればっかりは分からない」。当日のコンディションに関しては「夏の暑さが残っていると思うが、五輪で勝つためにやるレース。暑い中で走る能力がないと困る。スタート時点で25度前後の気温になってほしい」と語り、これを受けた河野匡マラソンディレクター(58)は、9月15日の過去20年間の午前10時時点での平均気温が25・4度と発表した。

 ただし、本番は女子が来年8月2日、男子が同9日に行われる。五輪のプレ大会として行うレースにもかかわらず、開催時期には約1か月の差があるのだ。本番のスタート時間こそ午前6時の号砲と大幅に早められたが、来年8月の気温がどうなるかは全くの未知数。そうでなくても近年、気温の急激な上昇が問題視されていることで、陸連関係者も暑熱対策には頭を悩ませる。瀬古氏の言うように「五輪で勝つため」にやるのなら、なるべく条件を揃えたほうがいいはずだが…。

 そうした中で注目発言を放ったのは、世界選手権(9月27日開幕、ドーハ)男子マラソン代表の川内優輝(32=あいおいニッセイ同和損保)だ。3日までに本紙の取材に応じた川内はMGC発表会見のことは知らなかったとし、改めてMGCを辞退した理由について「ドーハ(世界選手権)に出る準備が全部できていたのに、それをキャンセルして、東京に行けるかわからないMGCっていうのは、今さらできない」と説明した。その上で「(五輪本番の)スタート時間が早まったからって『じゃあ出ようか』って、そんな簡単なものでもない。2年前とかに早まっていれば、『東京頑張ろうかな』って思ったかもしれないですけど」と告白した。

 暑さを大の苦手とする川内だけに、もっと早くスタート時間の前倒しが決まっていれば、MGC出場の可能性もあったということ。

 3月の東京マラソンでは逆に寒さで男子日本記録保持者の大迫傑(28=ナイキ)がリタイアしており、川内の発言からしてもマラソンランナーにとって「気温」はレース結果を左右する重大要素なのだ。

 五輪代表男女3枠のうち、MGCからは上位2人が選ばれる。満を持して開催されるMGCの一発勝負で選ばれた代表が本番で力を出せるかは、当日の天候がカギを握ることになりそう。代表選考会の結果が五輪につながることを願うばかりだが、果たして…。