マラソン男子のエース・大迫傑“爆弾ツイート”の真意

2019年04月24日 16時30分

マラソン男子のエース、大迫が強烈な日本陸連批判に出た

 陸上長距離のエースがまさかの“爆弾投下”だ。男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(27=ナイキ)が23日、自身のツイッターを更新し、1万メートルの日本選手権(5月19日、ヤンマースタジアム長居)の選考基準をめぐって強烈な日本陸連批判を展開した。フルマラソン、5000、3000メートルの日本記録を持つトップランナーの発言に、陸上ファンも同調。陸連関係者は対応に大わらわの事態となり、波紋を広げている。来年に東京五輪が控える中で、いったい何が起こったのか?

 大迫はこの日、せきを切ったように次々と日本陸連への批判を投稿した。「日本選手権、『本連盟強化委員が特に推薦する本連盟登録競技者』という枠で出場しようと試みましたが、かないませんでした…。陸連強化委員からの『大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから』という理由でした。すごい理由だな。笑笑」

 続けてランキング制度採用に関する矛盾点を述べ、強化委員会所属チームが合宿や遠征に優先的に参加できる点を指摘。「そろそろ陸連を私物化するのはやめた方がいいと思う」「どういう選手が推薦出場に値するのかちゃんと明記してほしい」と連続でつぶやいた。

 ネット上での反響は大きかったが、そのほとんどが「大迫の言う通り」「誰かがこういう機会にやらないと」と大迫寄りの声だ。さらに「選手が安心して競技できなくなるのは本末転倒」などの陸連に苦言を呈するコメントもあった。

 一連のツイートに関して、本紙が日本陸連に問い合わせると「確認中なので何とも言えない」とかなり困惑した様子。「分かりやすく、魅力のある陸上を提供する」という目的で満を持して導入したランキング制度が皮肉にも混乱を呼ぶ結果となった。

 一方、アジア選手権開催地のドーハで報道陣の取材に応じた日本陸連の河野匡・長距離マラソンディレクター(58)は、日本選手権出場は参加標準記録Aに達した選手が優先で、推薦枠の利用は「ほとんど例がない」と説明。「特別扱いじゃなく、公平性を担保しないと。(間に人が入って、本人に)ちゃんと伝わってなかったようだ。誤解がある」と述べた。

 推薦基準の明記は「どういうケースが出てくるか想定できない」と否定的な見解を示したが、これを受けた大迫は反論を投稿。「こういう後出しジャンケンで、もやっとけむに巻くのはやめてもらいたい」「なぜツイートしたかと言うと、理解し難い却下理由と規定・選考の不透明さを以前から感じていたためです。明記できない規定は外すべきではないでしょうか」などと異議を唱えた。

 止まらない大迫は「断られたことが不満なのではなく、却下理由が理解できないということと規定や選考の不透明さを感じたからです」と徹底的に陸連の姿勢をただした。ただ河野氏によると、参加標準記録Aをすでに20人が突破済みで、さらに増える可能性がある。30人に満たなかった場合は記録上位者から追加され、26番目の大迫も出場の可能性はあるという。

 マラソン男子のエースと日本陸連の“対立”が思わぬ形で注目を集めることになったが、大迫としては東京五輪のマラソン代表選考レースである「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を9月に控える。“試走”と考えた3月の東京マラソンでは無念の途中棄権となっただけに、調整としてレースを一つ挟みたいと考えるのは当然のこと。そもそも「負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから」というのは陸連側の勝手な“忖度”で、大迫が勝つ前提で語るのも他の選手に失礼な話だ。この時点で競技として“競争原理”が働いていない。実際、大迫も「今の僕が上位にからめるほど、日本選手権に出る選手は弱くない」とつぶやいている。

 強化委の却下理由と推薦基準のあいまいさが呼んだ今回の問題。エースの発言は影響力が大きいだけに、まだまだ波紋を呼びそうだ。

【午前4時40分に反論】大迫は24日午前4時40分に自身のツイッターを更新し、批判的な意見について「自分で勝手に却下理由考えたり、後付けの陸連の回答で僕はその基準に値しないって言ってる人ちゃんとツイート見てる?」などと反論。さらに3分後には「最初からオリンピックまたは世界陸上のメダリストに限る等、明記されている中で駄々こねるほど馬鹿じゃないですよ」と書き込んだ。