【東京マラソン】大迫傑がまさかの途中棄権 Qちゃんはどう見た?

2019年03月04日 16時30分

途中棄権した大迫(中央)

 2020年東京五輪の代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)出場権がかかる東京マラソン(3日、東京都庁前―東京駅前)で、最も注目されたのは男子の日本記録(2時間5分50秒)を保持する大迫傑(27=ナイキ)がどのような走りを見せるかだったが、29キロ付近でまさかの途中棄権となった。日本で初めて2時間6分を切ったエースに立ちはだかった想定外の敵。今後への影響はいかに――。

 桃の節句に開催された今年の東京マラソンは過酷なレースとなった。スタート時刻の気温は5・7度。真冬ともいえる寒さに加え、朝から降り続く雨がランナーの体に容赦なく降り注いだ。それは日本最速の男にとっても例外ではない。大迫は2時間4分ペースで走る先頭集団で快走を見せていたが、中間点過ぎで集団から遅れだすと急失速。しばらく歩いた後、寒さで震える様子を見せながらコースを去った。

 4度目のマラソンで初めてゴールできず「スタート地点から寒くなって、体が動かなくなり棄権せざるを得ない状況でした」と主催者を通じてコメント。報道陣の前には姿を見せずに宿舎に向かった。

 この結果について、前回大会で当時の日本記録(2時間6分11秒)を樹立した設楽悠太(27=ホンダ)は「ボクも1回雨の試合でなったことがあるので、気持ちは分かる。この悪条件の中で走れる選手は強いと感じた」。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(62)は「ここで無理してもなんのメリットもない。やめてよかった」とエースに気遣いを見せた一方で「日本人選手は力が足りないのを認めないといけない。どうしても今日の(2時間)4分ペースだと無理がある」と、悪コンディションにもかかわらず結果を出したアフリカ勢との力の差を認めた。

 では、今回のレースが今後の大迫にどう影響するのか。日本陸連理事でシドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子氏(46)は本紙の直撃に「これからどう出てくるかは彼次第」と話した上で、棄権による影響には2つのパターンがあるという。

「今まで順調にステップアップしてきて、何事もなくMGCを迎えるよりも、マラソンの苦しさや挫折を味わって、ここからまたもう一度這い上がることで、より強くなった大迫選手が見れる可能性がある。リタイアしたことによる不安や怖さっていうことに引きずられてしまうというパターンもある。その2つに分かれるということを、彼自身がどう捉えていくか。それをうまく力にできるような精神力をつけてもらいたいと思う」

 今回のレースをMGCに向けての“試走”と考えていた大迫を待ち受けていたまさかの結末。MGC、そして東京五輪では真逆の暑さとの闘いが待つが、Qちゃんの期待通りこのアクシデントをプラスに変える強靱なメンタルで這い上がることはできるのか。