【ジャンプ】高梨沙羅 W杯歴代最多勝利の裏には…

2018年03月26日 16時30分

 金字塔の裏には――。平昌五輪ノルディックスキー・ジャンプ女子銅メダリストの高梨沙羅(21=クラレ)が24日のW杯個人第14戦(ドイツ・オーベルストドルフ)で約1年1か月ぶりに優勝し、男女を通じてW杯歴代単独最多の通算54勝に到達した。

 前人未到の快挙を仲間に祝福されると「五輪の時のような感動をまた感じることができた」と顔を紅潮させた。原動力になったのは、かねて苦手としていた着地だ。1本目はトップ、2本目も2位だった。向上のヒントは昨夏につかんだ。外国勢より身長が低い高梨に鷲沢徹コーチ(43)は「もっと手を大胆にアピールしよう」と助言した。審判の目を足に向かせない狙いがあった。

「(審判は)足と手の両方を見るのは、すごく難しい。手だけしっかり大きくしてアピールすれば、必ず見ているほうは、そこに目が行く」(鷲沢氏)。高梨は真横気味に出していた手を正面に修正。飛型点は高いレベルで安定するようになった。

 勝つためには“いい人”も返上した。スーツの調整は海外勢を見習い、周囲に「ちょっとセーフティーゾーンは取っておいたほうがいい」と、たしなめられるほど規定ぎりぎりを攻めた。

 なかなか勝てず、焦りや葛藤もあった。しかし、目標を未来に向けることで迷いを断ち切った。父でコーチの寛也さん(50)は「ここで絶対とか、前みたいに気にはしていない。今年で辞めるわけじゃないんだから長い目で捉えてやっているような感じですよね」と娘の内面の変化を感じていた。

 日体大を卒業し、今後は引き続き拠点を東京に置き、国内外で練習を重ねていく。外国勢との厳しい戦いは、これからも続くが、ただ一人、新たな女子ジャンプ史の創造という別次元の目標に歩みを進めていく。