オランダ・アムステルダムで行われたスピードスケートの世界選手権第2日(10日=日本時間11日)、女子の後半2種目で高木美帆(23=日体大助手)が前日からの首位を守り抜き、166・905点で日本選手として初の総合優勝を果たした。イレイン・ブスト(31=オランダ)が2位だった。

 高木美は2レースともブストと同走。1500メートルは相手の猛追を0秒07差で振り切り、1分58秒82の1位。11秒61のリードで迎えた最終5000メートルでブストと3秒08差の4位と踏ん張った。「お祭りのようなこの大会で勝てたことは、ずっと記憶に残ると思う。レース、大会を楽しめたことだけで幸せに感じるが、優勝できたのでうれしい気持ちでいっぱい」と喜びを表した。

 会場はオランダカラーのオレンジ一色で染まり、高木美にとっては完全アウェー。そんな中で頂点に立ち、スケート王国の2万5000人のファンを黙らせた。同選手権は過去、欧米以外の総合優勝者は出ておらず、競馬で言えば欧州調教馬以外の優勝がない凱旋門賞で日本馬が勝つようなもの。高木美が成し遂げた偉業はスケート界に新たな歴史を刻んだ。

 2月の平昌五輪では金、銀、銅の3色のメダルを獲得したが、優勝本命だった1500メートルではブストに敗れて2位。今回はそのリベンジを果たし「ここで五輪の悔しさが晴れることはないが、絶対に脚を止めないという強い気持ちで滑った」。最強のオールラウンダーとして新女王が新たな時代を築いていきそうだ。