平昌五輪スノーボード・ハーフパイプ男子で2大会連続銀メダルに輝いた平野歩夢(19=木下グループ)のスケートボードでの2020年東京五輪参戦へ、水面下で“交渉”が始まった。日本ローラースポーツ連盟は5月20日の日本選手権・パーク(新潟・妙高)に是が非でも参戦させたい構え。日本代表入り後の「特別待遇」も示唆して、若きスターの獲得に乗り出している。

 東京五輪出場に向け、平野は慎重な姿勢を示しながらも「当然、可能性があれば」と含みを持たせている。これを受け、5月の日本選手権への参戦を呼びかけたのが日本ローラースポーツ連盟だ(本紙既報)。

 日本選手権は8月のアジア大会(インドネシア)の代表選考を兼ねる。不参加なら今年の平野の代表入りもなくなるため、平沢勝栄会長(72=衆議院議員)は「絶対出さなきゃダメだ!」と鼻息荒く獲得指令を出しているという。

 平野側の窓口になっているのは、日本スケートボーディング連盟副代表理事も務める平野の父・英功さん(46)だ。しかし、まだ色よい返事はもらえていないようで「本人よりもお父さんのほうを今、一生懸命、説得しているんですけど…」と関係者は明かす。

 平昌五輪では“カリスマ”ショーン・ホワイト(31=米国)との死闘の末に敗れた。休む間もなく現在は、米国でUSオープンに参戦中。21日には地元の新潟・村上市で凱旋パレードも控えている。今後について、ゆっくり考える時間もないのかもしれない。

 日本選手権のエントリーは今月末にも始まるが、アジア大会出場希望者に関しては15日までに事前申請が必要だ。アジア大会のスケートボード日本代表はストリート、パークそれぞれ1人と狭き門だが、連盟は日本勢のワンツーフィニッシュもあり得るとして、国際オリンピック委員会(IOC)に代表枠の拡大を訴えている。

 さらに前出の関係者は「個人的には5月に出てもらって、代表候補選手になったら、合宿などは出なくてもいいと思う」と特例までチラつかせ、銀メダリストの出場を熱望した。

 ここまでして迎え入れたいのは、もちろん抜群の人気、話題性があるからだ。スケートボードは東京五輪の新種目で、知名度の向上はこれから。連盟はやや前のめりになりつつも、ぎりぎりまで平野サイドに声をかけ続ける方針だ。