リオデジャネイロ五輪競泳女子200メートル平泳ぎ金メダリストの金藤理絵(29=Jaked)が現役引退を発表した。7日、日本水泳連盟に引退届を提出し、16日に岐阜市内で会見を開くことが決まった。

 金藤は当初から「リオで金メダル獲得なら最後」との考えを示していた。五輪後、加藤健志コーチ(52)の説得で現役続行に傾きかけたことはあったものの、最後は初志貫徹となった。

 水泳を始めたのは8歳の時と早くはない。いわゆるエリートスイマーとは違う道を歩んできた。2008年北京五輪に出場後、12年ロンドン五輪で代表落ちするなど数々の挫折も乗り越えた。加藤コーチとは何度もケンカし、他の選手がびっくりするような圧倒的な練習量でようやく結果を出した遅咲きのアスリートだった。

 そんな金藤が将来の夢として描くのが、競泳の普及活動だ。かねて本紙のインタビューでこう語っていた。

「私、もともと小学校まで毎日水泳とかしてなかったんです。でもそれを言うと、普通の人は才能はすごいとか、そういうふうに思うと思うんですけど、そうじゃなくて、そういう人でも五輪に出れた、速くなれるんだって思ってもらいたい。最近、夢を持つ子供が少なくなってるって聞いたことがあるので、かなうかどうかは別にして『夢を持つってことは、素晴らしいんだよ』ってことが伝えていけたらいいと思います」

 まだできる。まだ間に合う。金藤はこれからも水泳の魅力を伝え、全国に眠る“第2の金藤”を発掘していく。