【女子マススタート】初代女王の高木菜那 妹・美帆との紆余曲折ストーリー

2018年02月26日 16時30分

本紙カメラマンの声かけに笑顔の高木菜(左)と微妙な表情の高木美

【韓国・江陵25日発】平昌五輪で日本選手団は4個の金メダルを獲得したが、日本女子で初めて1大会で2個の金を手にしたのがスピードスケート女子団体追い抜き(チームパシュート)と新種目の同マススタート(24日)で優勝した高木菜那(25=日本電産サンキョー)だ。団体追い抜き金メンバーの妹、高木美帆(23=日体大助手)とともに日本選手団を引っ張る大活躍。その裏にあった姉妹による“紆余曲折ストーリー”とは――。

「本当に予想通りの展開になってくれた」。25日の会見で高木菜は前夜のレースをこう振り返った。スピード、スタミナに加え、駆け引きが重要となってくるマススタート。同じ国の選手が2人いれば、連携も可能になるが、1回戦で佐藤綾乃(21=高崎健康福祉大)がカナダ選手の転倒に巻き込まれ脱落した。

 1人で勝負しなければならない状況で高木菜の決断は銀メダルのキム・ボルム(25=韓国)と銅メダルのイレーネ・スハウテン(25=オランダ)をマークすること。「どちらかにつこうと思っていたら、前にいたのがスハウテン選手だったのでぴったりついていきました」。終盤まで2番手を追走した高木菜は最後のカーブでスハウテンをインから差し切り、追ってきたキムも振り切った。

 ゴールと同時に両手を上げてガッツポーズ。「『とったどー』って。あっ、恥ずかしいから『やったー』って言ってました(笑い)」。女子選手の1大会2個の金メダルは日本初。妹の陰に隠れがちだった姉がとてつもない快挙を成し遂げた。

 8年前のバンクーバー五輪には15歳だった高木美が、最年少代表として出場。姉は「嫉妬はしてましたよ、高校生でしたから。悔しかったり、うらやましい気持ちが表に出ていたと思う」と当時を振り返る。

 前回のソチ五輪には高木菜が出場。一方で妹は代表落ちの試練を味わった。

「親は喜びたいのに、いつもどちらかに気を使わせてきた。今回は楽しんで見てもらえたらと思う」。姉妹揃っての五輪出場が決まると、高木菜はこう言って喜んだ。今回の2人の大活躍は現地で見守った父・愛徳さん(60)、地元の北海道・幕別町から声援を送った母・美佐子さん(55)に向けた最高の親孝行になった。

 金メダルの数では妹を超えた高木菜だが「駆け引きがある種目なので、(高木美に)勝ったなっていうのは全然ない。まだまだ追いつけ、追い越せという気持ちでいます」。紆余曲折のあった姉妹の間に、嫉妬やわだかまりはもうない。互いに認め合う最高のライバルとして、世界記録と五輪の金メダルで世界のトップに上り詰めた団体追い抜きでは仲間として、さらに上を目指していく。