延長惜敗カー娘の悲しい実態 人気定着への高い壁「やりたくても施設がない」

2018年02月24日 14時00分

抱き合って喜ぶ韓国チームを前に、藤沢(右)はがっくり

【韓国・江陵23日発】マリリン発言の真意は――。平昌五輪のカーリング女子準決勝、日本代表のLS北見は韓国に延長の末、7―8で惜しくも敗れ、英国との3位決定戦(24日)に回った。美女と評判のスキップ藤沢五月(26)を中心に「もぐもぐタイム」「そだねー」などの流行語も生まれて話題沸騰中のカーリングだが、主将の本橋麻里(31)が「4年に一度起こるやつですね」と話した通り、過去の五輪では一過性のブームで終わっている。なかなか人気定着に至らないカー娘たちの“実態”に迫った。

 勝てば銀メダル以上が決まる日韓戦は、まれに見る激闘となった。第1エンドでは後攻の韓国が3点を先制。第2エンドで2点を取り返したものの、日本は「終始押され気味の試合になった」(本橋)。

 しかし1点差に迫って迎えた第10エンド、韓国の最後の一投で奇跡が起きる。相手のスキップ金ウンジョン(27)も一瞬ガッツポーズを見せたが、日本の黄色のストーンをはじいた赤のストーンが予想外の動きを見せた。スキップの藤沢も「負けたと思ってスイープするのが遅れた」と振り返った場面。わずかに中央に近い位置で止まったのは、日本のストーンだった。

 まさかの展開にLS北見のメンバーの笑顔がはじけた。息詰まる展開となった延長の第11エンドも最後の勝負は金ウンジョンが握る。今度はしっかりドローを決められ、LS北見の決勝進出はならなかった。

 韓国では両チームの本拠地の名産品から「タマネギVSニンニク」とも呼ばれた一戦はニンニクの勝利。試合後、会見場に現れた藤沢は目を腫らし「悔しいです。第1エンド以外はアイスも読めて、いい試合ができた。最後はプレッシャーのかかるショットを決めた韓国のスキップに拍手です」と気丈に語った。

 もちろん、まだ銅メダル獲得の可能性を残しており、五輪では過去最高の活躍に変わりはない。メダルゲットなら、2010年バンクーバー五輪で本橋が主軸だったチーム青森が大フィーバーを起こした以上のブーム到来を予感させる(本紙昨報)。その一方で本橋は「また4年に一回にならないように」と話しているが、これはどういうことなのか。日本カーリング協会関係者は国内での競技の厳しい現状を口にする。

「五輪を見て『やりたい』と思ってくれる人がいても、できる施設がほとんどない。カーリング人口を増やすのは本当に難しいんです」。協会のホームページに紹介されている専用リンクは全国で11か所。通年で利用できる施設はわずか4か所しかない。

 女子の場合、その4か所を拠点とする4チームを除けば「日本選手権優勝や五輪出場を本気で目指しているチームは『ない』と言っていい」(同関係者)。競技人口(男女で2500~3000人)も、トップレベルの選手も限られている。

 五輪のたびにブームとなっているが、同関係者によれば「地方の協会が主催する体験会や修学旅行で一度やったことがあるという人は確実に増えました。ただ、その人たちに続けてもらうところまで、人手も予算も回っていない」。海外遠征を増やすなど、代表チームの強化には一定の成果を上げてきただけに、次は普及を目指したいところだが、高いハードルに苦しんでいるのが実情なのだ。

 メダルを取っても「急にリンクが増えるわけではない」(同関係者)というものの、環境が変わるきっかけにはなるはず。英国との3位決定戦には日本のカーリングの未来もかかっている。