“スノボの神様”までがセクハラ疑惑の渦中にいたとは!! 平昌冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプで日本の平野歩夢(19)に最後の最後で大逆転し、金メダルに輝いた米国のショーン・ホワイト(31)が14日、勝利後の会見で米ABCニュースの記者から突然、セクハラ訴訟について質問されたことが、波紋を広げている。自身が率いるロックバンドの元メンバーの女性から訴えられていた訴訟は昨年和解していたが、スノボ界のカリスマのセクハラが、世界に知れ渡る事態になってしまった。

 会見で突然、ABCニュースの記者から「セクハラ被害を受けたという(女性の)主張は、あなたの名声を汚すことになるか」と聞かれたホワイト。晴れの舞台でのまさかの質問に「ここはオリンピックについて話す場で、ゴシップについて語る場所じゃない」とかわした。

 だが、金メダルをきっかけに“セクハラ疑惑”が広がったことで、それまで知らなかった米国以外の世界中の注目が、その詳細に注がれることになった。

 ホワイトを性的嫌がらせで訴えていたのはリナ・ザワイデ。ロックバンド「バッド・シングス」の元ドラマーの女性だ。実はホワイト、同バンドを率いるリードギタリストとして活躍する、もう一つの顔を持っているのだ。

 そのリナは2016年、ある芸能メディアのインタビューで「一緒に音楽活動をしていた7年間、ずっとホワイトからセクハラ被害を受けていた」と爆弾発言したのだ。

 さらにその直後、ホワイトと事務所を相手取って、ギャラ不足分の支払いを求めて提訴。続いて「ホワイトから頻繁にわいせつな画像やメッセージを送りつけられたり、ポルノビデオを見るよう強要されたりした」などとしてセクハラ裁判を起こした。

 リナは、バンドの“紅一点”として「ホワイトからセクシーな衣装を着るよう求められたり、髪を切るよう迫られたりしたが、拒否したために解雇された」とも訴えていた。

 ホワイトは、画像を送ったことなど、原告の言い分の一部を認め、17年5月に和解。その内容については公表されていない。

 ホワイトが会見でリナの主張を“ゴシップ”と表現したことについて、裁判でリナの弁護士を務めたローレンス・ボーム氏が反発し、波紋が広がった。

 米芸能サイト「TMZ」の取材に「(リナは)問題はすでに過去のものとして、これから幸せになろうとしている最中の今回の発言。ホワイト氏は米国におけるセクハラ問題を最小限に抑え込もうとしている」と批判した。

 また14日の会見ではこんな場面も。

 ABCの記者が質問した後、司会者は「ここは五輪の話題についての質問にしてください」と報道陣に注文をつけたうえで、同時に挙手していた別の米国人記者を指名。するとその記者は「私も同じことを聞くつもりだった」として質問を取り下げた。

 会見後、米NBCのトーク番組「Today」に韓国からの中継で出演したホワイトは“ゴシップ”という言葉を使ったことを謝罪。「今この繊細な問題を表現するには不適切な言葉だった」と反省した。

 ハリウッドに始まり米国の各界に広がったセクハラ告発という流れは、スノボ界のスーパースターにも波及。トリノ、バンクーバーに続き、劇的な逆転勝ちで3つ目の五輪金メダル獲得という偉業を達成したにもかかわらず、ホワイトの過去も蒸し返されるというネガティブな報道もなされた。