スノーボード・ハーフパイプ男子の平野歩夢(19=木下グループ)が平昌五輪での金メダル取りに向けて盤石の態勢を固めた。米最高峰大会の「Xゲーム」スーパーパイプで優勝し、次なる目標へ「圧倒的な力で期待に応えられれば」と堂々宣言。最大のライバルはW杯で100点満点を出した“カリスマ”ショーン・ホワイト(31=米国)だが、五輪で戦えば平野が有利だという。そのワケは――。

 1日、都内で板を契約する「バートン」のイベントに出席した平野は「今回の五輪は自信をつけて本当にやり残したことがないような気持ちで出られればと思って4年間、練習だったり、自分のベースづくりをやってきた。だいぶ自分が想像している通りに、自信を持ってプラスの気持ちで前に進める」と確信に満ちた表情でうなずいた。

 1月28日に行われたXゲームで優勝したことが追い風になっている。フロントサイドダブルコーク1440、キャブダブルコーク1440と4回転の技を連続で決めたのは史上初。「辞める前までに取りたかったタイトル。次、目指すところは一つしかない」と力強い口調で言い切った。

 Xゲーム、五輪の2冠を達成すれば、もはややり残したこともないかのような口ぶり。しかし、その前に立ちはだかるのが“カリスマ”ホワイトだ。

 平野は超絶技を成功させたものの、得点だけを見れば99・00点と満点を逃している。プロ大会のXゲームと国際スキー連盟(FIS)が主催するW杯は採点基準も審判も違うとはいえ、100点満点を出したホワイトの底力はやはり脅威というしかない。

 だが、平昌五輪で激突すれば、勝つのは平野だ。スノボ業界に詳しい関係者は「ショーンが満点を出した時は、誰も歩夢があんな構成をやってくるとは思っていなかった。五輪では歩夢のあの演技がジャッジの基準になる。いったい、どこまで回るのか…」と話した。

 ホワイトが100点を出したのは平野がXゲームで優勝した15日前だった。その時の最高難度の構成も、平野があっという間に塗り替えた。審判の技を見る目は引き上げられ、同じ構成のままではホワイトが100点を出すことは難しくなったと見られている。

 平野は「圧倒的な差をつけて滑れれば後悔はない。そういう滑りをしたい」と気合を入れる。悲願の金メダル獲得が近づいているようだ。