フリースタイルスキー・ハーフパイプ女子の小野塚彩那(29=石打丸山ク)が気になる“後遺症不安”を払拭した。

 昨年の世界女王には平昌五輪金メダルの期待がかかる。今後は米国でW杯と「Xゲーム」に参戦し本番に向かうが、特に「Xゲーム」は精鋭が揃う前哨戦となる。小野塚は「優勝して五輪にいい流れをつくりたい」と必勝を義務づけている。

 気がかりなのは脳振とうの影響だ。昨年12月6日のW杯で転倒し、ここ1か月、スキーが履けない状態になった。MRI検査で脳への異常はなかったものの、選手にとって最も懸念されるのが恐怖心。転倒の恐怖が邪魔をし、最高のパフォーマンスを出せなくなることだ。「転んだ時をずっと覚えていると、回復して次に滑る時に恐怖心がある。個人差はあると思いますけど、時間がかかりますね」と話す代表関係者もいる。

 しかし、小野塚はアクシデントに見舞われながらも運を味方に。「覚えてないんで恐怖心はないですよ。覚えていたほうが怖いと思う」。転倒後に1~2分間、完全に意識を失った。その結果、転倒前後の記憶は全くなく、恐怖心に悩まされることもないという。転倒した技のライトサイド720(右回転の2回転)を含む同じルーティンに再挑戦することも可能で、五輪に向けた影響を最小限に食い止めた。昨年9月に一般男性と結婚。このタイミングでの公表には「深い意味はないです」と笑ったが、愛する夫のためにも残り1か月半、栄光のフィナーレを目指す。