元横綱日馬富士(33)の暴行事件を調査する日本相撲協会危機管理委員会(高野利雄委員長=元名古屋高検検事長)が、20日の臨時理事会までに被害者の幕内貴ノ岩(27=貴乃花)を聴取することを断念したことが15日、危機管理委関係者の話で分かった。20日に予定していた調査の最終報告には間に合わず、年内の収束は極めて難しくなった。

 危機管理委は元日馬富士が11日に書類送検されたことを受け、貴ノ岩側へ聴取を要請。師匠の貴乃花親方(45=元横綱)は11月30日の理事会で、鳥取県警の捜査が終われば聴取に応じる意向を示したが、貴乃花親方は鳥取地検の処分が出るまで協力しない旨を12日に協会に伝え、調査は難航している。

 理事会では予定通り調査報告を行うものの、「最終報告」の文言を変更する可能性があるという。関係者は聴取について「こちら側がいくら言っても、来ない。もう無理だろう」とあきらめ顔だ。相撲協会には15日も貴乃花親方から連絡はなし。今後の調査要請の予定に対し、鏡山危機管理部長(59=元関脇多賀竜)は「何もないよ」と厳しい見通しを示した。

 20日には相撲協会の臨時理事会が行われる。これで貴乃花親方に対する処分も厳しいものになるのは確実だ。巡業部長として秋巡業中の事件について協会への報告を怠ったことだけでなく、理事の立場にありながら調査協力拒否で協会の運営を停滞させた上に、協会と同親方の“対立”が表面化し角界のイメージダウンにもつながった。

 いくら弟子を守るためとはいえ、世間一般の常識とはかけ離れた行動に批判も多い。暴行事件の真相解明の遅れは、貴乃花親方にとってもプラスに働くことはなさそうだ。