阪神の藤浪育成法は「広岡流」

2013年01月21日 16時00分

 阪神はスタッフ会議で注目ルーキーの藤浪晋太郎投手(18=大阪桐蔭)を一軍キャンプに参加させる方針を固めた。その一方で首脳陣は藤浪育成のため捕手陣に対して特別指令「低め要求禁止令」を出す。この奇妙な通達の裏には球史に輝く、あの常勝軍団のエース育成術があった。

 

 スタッフ会議を終えた和田豊監督(50)は「最終決定ではないが、現時点では12月の体力測定から一つひとつ段階を踏んできている。今のところは一軍キャンプに連れていくことに支障はない」と慎重な表現で藤浪を沖縄・宜野座で行われる一軍キャンプに帯同させることを示唆した。その藤浪はこの日も新人合同自主トレに参加し、ブルペンで約30球の投球練習を行った。現在は「感触を忘れないために投げている」(藤浪)と試運転段階。キャンプイン後に本格的な投球練習に切り替える。

 

 いよいよ金の卵育成計画も本格始動となるが、その第1弾が藤浪のボールを受ける捕手陣に出される「低め禁止令」だ。長打を避けることができる低めへの制球力は投手の基本、生命線という考え方が一般的だ。このためブルペンでは捕手がミットを低く構えて「ここに投げろ!」と指示する場面も多いが、これを禁止するというのだ。あるコーチは「藤浪には無理して低めを狙って投げさせてはいけない」と断言。その上で「彼の最大の魅力は球威。早い時期から低めに投げることにこだわってしまうと前のめりになったり、フォームが小さくなって威力もなくなってしまう。本来のフォームを崩して故障という最悪のケースもある。まず彼の力を引き出す自然なフォームを習得させるのが先決」と理由を説明する。

 

 しかも、この指導方針には心強い成功例がある。昨年の秋季キャンプで臨時コーチを務めた広岡達朗氏(80)が西武の黄金時代を築いた際、入団直後の渡辺久信(現西武監督)、工藤公康(現評論家)に「球威が落ちるくらいなら無理して低めに投げる必要はない」と指導していたという。

 

 チーム関係者も「2人とも入団時の球威に磨きをかけて常勝軍団の柱となるエースに成長した。藤浪も同じ方針で育てるのがベスト」と同調。虎のエース育成のために、まずは獅子流養成法を導入する。