【カーリング】平昌五輪出を決めたカー娘の歓喜と苦悩

2017年09月12日 11時00分

 カーリングの平昌五輪女子代表決定戦(10日、アドヴィックス常呂カーリングホール)は第4試合を9―5で制したLS北見が通算成績を3勝1敗とし、中部電力を下した。とはいえ、念願の五輪切符をつかんだ選手たちの胸中は複雑。その背景にあるのは、五輪代表チームが日本一決定戦となる日本選手権(来年1月)に出られないという協会の方針だ。歓喜に沸く「カー娘」たちの本音に迫った。

 前日まで2勝1敗と五輪に王手をかけたLS北見は第1エンドに相手のミスなどで3点を先制し、勢いに乗った。今大会好調のサード吉田知那美(26)やスキップ藤沢五月(26)が活躍。吉田知の妹・夕梨花(24)、鈴木夕湖(25)とともに、チームとしては初の五輪を手繰り寄せた。

 チームの創設者で今大会はリザーブだった本橋麻里(31)は「クラブチームとして、生活の中にカーリングがある新しいスタイルを目指した。五輪までの5か月をどう過ごすかが大事。今日は素直に喜んで、明日から気持ちを切り替えたい」と試合後の会見でコメントした。実業団とは違ったアプローチで競技に取り組み、五輪切符を獲得。日本カーリング界に新風を吹き入れ、結果を出したことに胸を張った。

 各選手がストレートに喜びを表現するなか、吉田知は「11月のPACC(パシフィックアジア選手権)で世界選手権(来年3月)の切符を取れるように頑張りたい」と話した。今大会の勝者は五輪代表であると同時に、世界選手権の出場権(例年通りなら上位2か国)がかかるPACCの日本代表にもなっている。だが、LS北見は出場枠を獲得しても世界選手権には出場できないというから、話はややこしい。

 世界選手権に出場できるのは、日本選手権優勝チーム。しかし日本協会は、五輪に向けた調整に集中させる目的で、男女の五輪代表チームを日本選手権に出場させない方針を決めている。これには、すでに五輪出場権を手にしながら日本選手権の連覇が自動的に「5」で止まることになる男子のSC軽井沢も協会に2度も質問状を送るなど、一連の決定への不満をあらわにしている。

 こうしたなか、吉田知に改めてPACCへの思いを聞くと「同じ時期に(私たちの)チームとしては他に出たい大会もある。自分たちが世界選手権に出られない状況で、その切符をかけた戦いにどんなモチベーションで臨めばいいんだろうという思いは、代表に決まる前からありました」と複雑な心境を吐露した。それでも「今回戦って、中部電力の皆さんのためにも世界選手権の切符を取りたいと思えた」と代表決定戦を通じて気持ちに変化があったことも明かした。

 SC軽井沢は男子の世界選手権で昨年4位、今年7位。女子のLS北見は今年の出場を逃したものの、昨年は銀メダルを獲得している。いずれも平昌五輪ではメダルが狙えるチームだけに、すっきりとした気持ちで本番を迎えてほしいものだ。

★LS北見=チーム青森時代に冬季五輪に2大会連続出場した本橋を中心に、2010年8月に創設。競技が盛んな北海道の旧常呂町(現北見市)を拠点とし「太陽の常呂っ子」を意味する造語「ロコ・ソラーレ」をチーム名にした。14年まで日本選手権を4連覇した中部電力のスキップだった藤沢、北海道銀行で14年ソチ五輪出場の吉田知が途中加入。昨年2月の日本選手権で初優勝し、同年の世界選手権で日本初の銀メダルを獲得した。メンバー全員が現北見市出身。