女子カーリングの平昌五輪日本代表決定戦の第1試合(8日、北海道・アドヴィックス常呂カーリングホール)は2度の五輪を経験したマリリンこと本橋麻里(31)がリザーブに控えるLS北見が9―1の大差で中部電力に先勝した。先に3勝したチームが五輪代表に決まるという緊張感の中で、初日の結果を左右したのは経験の差だった。

 第8エンドが終わると、大きくリードを許した中部電力が敗戦を認める握手を求めた。カーリングでは数字の上で逆転の可能性があっても、大勢が決した時点でコンシード(相手の勝利を認める)するのがマナー。五輪切符を争う大一番の第1ラウンドは意外な結果に終わった。

 試合は中部電力のミスもあり、LS北見が終始リードする展開。3―1で迎えた第6エンドでは不利な先行にもかかわらず、大量4得点を挙げて試合を決めた。2015年に中部電力から移籍したスキップの藤沢五月(26)は「ピンチで決めるのが私の役割。今日はそこまでプレッシャーのかかるショットはなかった」。勝敗を分けたポイントを聞かれると「パーフェクトではなかったが、アイスを読むことができた」と振り返った。

 そんななか、チームメートに貴重なアドバイスを送っていたのが本橋だった。「公式練習とは(氷の)イメージが変わるので対応するようにと言われていました」(藤沢)。実際、直前の練習で「ガンガン曲がっていたのが、曲がったり曲がらなかったりするようになった」という。

 人の出入りがあれば、室温が変化し、氷も変化する。LS北見には本橋に加え、ソチ五輪代表の吉田知那美(26)もおり、観客や報道陣が数多く集まる大舞台での経験で上回っていた。

 とはいえ、中部電力のスキップ松村千秋(24)は「大差はついたけど、悪い内容ではなかったので次につながると思う」と巻き返しに自信。初戦は一方的な試合となったが、代表決定までまだ一波乱ありそうだ。