ノルディックスキー・ジャンプ女子の伊藤有希(23=土屋ホーム)が21日、欧州でのグランプリ(GP)3大会を終えて羽田空港に帰国。初優勝を喜びつつも、海外勢の“本気度”には疑いの目を向けた。

 第2戦で待望の初Vを飾った伊藤は「すごく充実した2週間。今後のトレーニングのモチベーションになる」と笑顔で振り返った。来年の平昌五輪でのメダル獲得へ弾みをつけたが、一方で、気になるのが海外勢のレベル。五輪、世界選手権合わせて3連覇中のカリーナ・フォクト(25=ドイツ)は練習中にヒザを痛め、3大会とも欠場した。また、ダニエラ・イラシュコ(33)らオーストリアの強豪も不参加で、伊藤は「出ていない選手も結構いる。ひそかに調整している感もある…。夏なので、みんな本気か分からない」と疑心暗鬼。冷静に自身の“立ち位置”を捉えた。

 また、鷲沢徹コーチ(42)は飛び出しのタイミングを合わせるのが難しかった第2、3戦について、移動の関係で海外勢に比べて練習期間が長く取れたことを挙げ「私たちは月曜日から飛び始めたので割と日本人選手(の成績)が良かった」と話した。GPは雪がなく、助走路が夏仕様。海外勢は冬にピークを合わせる傾向もある。もちろん、海外勢がそんな状況であっても、伊藤のスタンスがブレることはない。「私? いつも本気です」とどんな大会でも全力投球の姿勢を強調した。

 26日の白馬、9月3日の妙高と続く国内大会に向けても「空中の課題も克服しつつ、成果を出せたら」。心理戦や駆け引きに動じることなく、集中していく。