ロッテ・益田 “強心臓”の秘密

2013年01月04日 16時00分

 パ・リーグ新人王に輝いたロッテ・益田には信じられない“過去”があった。心臓の病気を乗り越えてプロ入りしていたのだ。

 新人らしからぬ堂々たる投げっぷりで、ライバルチームの打者を次々に打ち取った。度胸の良さは天下一品。心臓に毛が生えていてもおかしくないほどだが、実は穴が開いていたというから驚きだ。

 和歌山の市立和歌山商高に入学。1年生の時に受けた健康診断で心臓に異常があることが分かった。精密検査を受けた結果、医者から「心臓に穴が開いている」と宣告された。「本人はそうとう大きなショックを受け、野球を止めることも本気で考えたようです」(中学時代の恩師)

 医者から激しい運動を止められ、高校1年生の時はまともに練習することさえできなかった。当時、市和歌山商高野球部を率いていた真鍋忠嗣前監督は益田が投手を希望していたことを知っていたが「負担がかからないように」と心を鬼にして内野手にした。

 真鍋前監督は「右腕の使い方がとてもやわらかい」と益田の投手としての才能を見抜いており、本人が大学に進学して野球を続けたがっていることを知ると、関西国際大の鈴木監督に事情をすべて打ち明けたうえで「投手にしてほしい」と頼んだという。益田の母・しのぶさんも「うちの子はグラウンドで死んでも本望やから」と息子が野球を続けることを望んだ。

 幸い益田は大学でひと一倍丈夫な体に成長し、心臓の心配もなくなって投手として野球に集中することができ、プロ入りした昨季は72試合に登板して41ホールドを挙げた。真鍋前監督は「高校時代に投げたくても投げれなかったジレンマが、いい方向に向かってくれたのでは」という。マウンドに立てる喜びの動悸が、益田の“強心臓”の秘密なのかもしれない。