カーリングの混合ダブルス日本選手権最終日(5日、北海道・常呂町)、4人制で3度の五輪出場の小笠原歩(38)と元日本女子代表監督・阿部晋也(37)のチーム阿部が決勝でチーム青木を6―3で下して初優勝。来年の平昌五輪の出場権を争う世界選手権(4月22日開幕、カナダ)の代表に決まった。“カーママ”小笠原には4度目の五輪のチャンスが広がった格好だが、その道のりはまだまだ険しく、高い“ハードル”がある――。

「(世界選手権の間に)子供を預けなきゃいけないなと。それと(副賞の)お米がうれしいですよ」。小笠原はカーママらしく、優勝の感想を口にした。

 チーム青木には前日の1次リーグ最終戦で5―12と完敗。それでも「自分たちが置きたい所に(ストーンを)置ければ、チャンスはあると思っていた」と、豊富な経験を生かしてリベンジを果たした。

 カーリングの混合ダブルスは来年の平昌五輪で採用される新種目。急造ペアのチーム阿部は五輪に向けて、強化委員会推薦という形で今大会に参加した。期待に応える形で結果を残し、世界選手権の代表の座をつかんだが、五輪出場にはまだ決して低くないハードルが待ち受けている。

 五輪の出場枠は昨年と今年の世界選手権の成績で争われるが、日本は昨年予選リーグで敗退しており、獲得ポイントは「0」。出場枠獲得には「優勝か、それに近い成績が必要」(日本カーリング協会幹部)だ。

「過去の大会を見ると、他国の代表にも4人制の元有名選手がいますが、完全に混合ダブルスに転向しているケースが多い」(同)。今でも4人制に軸足を置くチーム阿部が、どこまで通用するかは未知数。小笠原も阿部も所属チームではスキップを務めているため、氷をブラシではくスイーピングに不慣れなのは否めない。

 さらには出場枠を獲得しても、今大会準Vのチーム青木、昨年優勝のチーム札幌との五輪代表決定戦が待っている。日程や対戦方式は早ければ4月8日の理事会で決まる見込み。自ら枠を獲得したペア、すなわちチーム阿部には何らかの「アドバンテージが与えられる可能性もある」(別の協会関係者)が、混合ダブルスが本職の2チームにも意地があるだろう。

 来年に向け周囲の期待と注目が高まるなか、小笠原は「五輪は最後ではないし、五輪に出るためだけにカーリングをしているわけじゃない。ここから気持ちも新たに次の目標に向かって頑張りたい」。本人たちは冷静に足元を見つめているが、果たして…。

★混合ダブルスと4人制の違い=混合ダブルスでも、得点の方法など、大まかなルールは4人制と変わらない。4人制では1つのエンドに各選手が2投ずつ、計8投するのに対し、混合ダブルスは2人で5投。少ない回数でより複雑なゲーム展開を生むため、エンド開始時点で両チームのストーンが1つずつ、規定の位置に置かれる。このストーンの位置は「戦略性を増すため、何度か改定されてきた」(協会関係者)という。また、4人制が主に一試合10エンドで行われるのに対し、混合ダブルスは8エンドで行われる。競技には2人の連係とショットを操るスイープ力が不可欠で、4人制に比べて仕事量が多い。