中学生旋風が止まらない。スポーツクライミング日本選手権リード最終日(5日、埼玉・加須市民体育館)、女子決勝で13歳の森秋彩(もり・あい=茨城県連盟)が3位に入った。ボルダリングのジャパンカップを史上最年少で制した伊藤ふたば(14=岩手県協会)は4位。野口啓代(27=茨城県連盟)が2年連続6度目の優勝を果たした。

 ジャパンカップの優勝で伊藤にばかり注目が集まったが、実は森を含め中学生には有望選手が多数いる。「伊藤さんとその1つ下の世代は層が厚く、互いが切磋琢磨している。黄金世代です。大人に追いつこうとしていて、日本の競技力は今後もっと上がっていくと思う」(西谷善子ユース日本代表ヘッドコーチ)。壁を登るクライミングは筋肉ムキムキの選手が得意そうに見えるが、実際は体重の軽い選手が有利。少年少女が活躍できる要素は十分あるのだ。

 ただしフィギュアスケート同様、体形が変化しやすい女性は成長期への対応が課題の一つ。森も昨年1年間で身長が10センチも伸びた。「身長はいいが、困るのは体重。今までは軽ければ腕の力で登れたが、体重が増えれば疲れてしまうので体幹や背中の筋肉を強くするようにしている」(森)。日本山岳協会でもユース合宿を行い、食事の取り方や筋肉のつけ方などを指導。成長期にうまく対応できるよう、サポートしていく。

 森や伊藤はW杯、世界選手権は年齢制限(16歳)で出場できないが、東京五輪には間に合う。森は「東京五輪に出たい。出るからには金メダルを狙いたい」。伊藤同様、成長期という“壁”も乗り越えたいところだ。

 ☆【リード】スポーツクライミングの種目の一つ。コース途中にある金具にロープをかけることで安全を確保しながらホールド(突起物)のついた壁を登り、制限時間内に到達した高さを争う。最も上の金具にロープをかけると完登となる。壁の高さは12メートル以上で、今大会の制限時間は予選と準決勝が6分、決勝が8分。種目は他に、複数の課題に挑んで完登した壁の数を競う「ボルダリング」、登る速さを競う「スピード」があり、2020年東京五輪では3つの複合種目で争われる。