目指すは北島氏か、それとも…。リオ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(22=東洋大)が21日、スペインでの復帰戦に向けて成田空港を出発した。

 萩野はシエラネバダでの高地合宿を経て3月10日からのマドリード・オープンで、昨年9月の右ヒジ手術からの復帰戦に臨む。その後も合宿に戻るため、滞在は5週間と長く「ワクワクより恐ろしさより覚悟を決めて臨む気持ちのほうが大きい」と決意を示した。

 目的はもう一つある。恩師の平井伯昌ヘッドコーチ(53)は3月に卒業する萩野と将来のことを含め「いろんな話をしてきたい」と明かした。東京五輪では連覇や複数金メダルの期待がかかるが、社会人になれば他にもさまざまな分野で活躍する道がある。

 平井氏が描くのは、五輪2大会連続2冠の北島康介氏(34)のような絶対的な存在で「北島のようにと言うと荷が重いかもしれないけど、水泳界のリーダーになってほしい。大きく羽ばたいてほしい。東京五輪がなんでこのタイミングにあるかと感じる。彼にとっては一番いい」。

 一方、日本水泳連盟幹部は「萩野は鈴木大地(スポーツ庁)長官タイプ。学校とのつながりを持たないといけない。引退後のことも考えている」。ソウル五輪金メダルの鈴木長官は現役引退後、順天堂大で教鞭を執るなど文武両道を成し遂げ、スポーツ界をけん引する立場になった。どちらを目指すかは萩野次第だが、両方の資質も兼ね備えているから悩ましい。スペイン遠征は恩師ととことん話し込める貴重な機会となりそうだ。