2020年東京五輪で正式種目になったスポーツクライミングで、国際連盟が定める国別の五輪出場枠など代表選考基準がいまだ決まらず関係者をやきもきさせている。

 五輪本番はボルダリング、リード、スピードという3種目複合で競われる。日本はボルダリングでは男子の楢崎智亜(20=栃木県連盟)が昨季W杯総合と世界選手権を制し、女子では野中生萌(19=東京都連盟)、野口啓代(27=茨城県連盟)が世界選手権で2位、3位に入るなど絶好調。W杯の国別ランキングでは3年連続1位と世界トップに君臨している。

 日本勢は東京五輪に向けリード、スピードの練習にも着手しており、うまく攻略すれば、複合成績でも複数メダルの獲得が十分望める。しかし五輪開催まで3年半を切りながらも決まっているのは3種目複合と、男女それぞれ20人の出場ということだけ。国・地域の出場枠を含めて、代表選手選考の方法が何一つ決まっていないのだ。

 日本ではメダルも狙える有力選手が多いものの、その方法次第では、各国男女1人のみになる可能性もある。日本代表の安井博志ヘッドコーチは「3月の国際連盟総会で大きな方向性は見えてくると思う。なんとか五輪に複数名送り込めるようになってくれれば」と期待を込めている。

 日本国内でスポーツクライミング人気は高まっている。最近では国内大会の出場希望者も増加し、1月のジャパンカップでは予備予選会を開くほど盛況だった。同大会の女子では、14歳の伊藤ふたば(岩手県協会)が優勝するなど、若手の育成も順調。日本の弱点とされるスピードについても、専用施設が今春に東京・昭島に完成する。

 国内でも練習、大会が可能と好環境に変わりつつあるが、東京五輪での複数メダル獲得へ“吉報”を待つばかりだ。